「電気工事の仕事の依頼を増やすために、ホームページを導入したい」と考えている方は多いと思われます。しかし、
・どの業者にホームページの制作依頼をしたらいいかわからない
・どんなホームページにすればいいかわからない
このような問題があり、なかなかホームページの導入に踏み出せない方も少なくないでしょう。
電気工事はガス工事・水道工事と並び、街のインフラを支える重要な工事の1つです。
将来にわたって一定の需要はあるものの、できれば年間を通して安定した工事受注をしたいものです。
そこでこの記事では、電気工事業のホームページ導入を検討されている方に向けて、どんなホームページを作ればいいのか、その方法とコツをお伝えします。ぜひ、皆様の会社の事業計画にお役立てください。
ホームページ制作のコツ①:導入の目的を明確にする
ホームページ制作を依頼する前に、まずはホームページを導入する目的を明確にしましょう。知名度アップや求人募集などいろいろ考えられますが、電気工事会社のホームページだと、多くの場合は「仕事・依頼の獲得」が目的になるかと思います。
ただ、これで終わらせるのではなく、ここからさらに掘り下げて「自社の事業戦略」を明確にしておかなければなりません。なぜなら、どのような仕事を獲得したいのかによって、ホームページに掲載すべき内容も変わるからです。
たとえば
・現状の仕事に加え、別の仕事も獲りたい
・現状の仕事も、新たな仕事も、両方増やしていきたい
など、さまざまなケースがあります。
もっと具体的に言えば、
「現状、工場やプラントの電気設備工事の仕事を元請け1社から請けているが、もっと取引先(元請け)を開拓してリスクヘッジをしたい」「現状、工務店の住宅の電気工事をメインで請け負っているが、仕事の少ない時期に一般顧客の細かい工事を請けて波埋めしたい」など、会社の状況次第で多様なケースが考えられるでしょう。
こういった目的を明確にし、それを実現できるホームページを制作することが大切です。十分な効果が出ないホームページは、多くの場合「ホームページの制作自体」が目的になってしまい、目的を達成できるような内容・デザインになっていません。「ホームページは目的を達成するための手段である」ということを、常に念頭に置いておきましょう。
ホームページ制作のコツ②:顧客像を明確にする
ここからは、ホームページ導入の目的が「仕事・依頼の獲得」であるという前提で話を進めます。目的設定の次に行うべきなのは、「獲得したい顧客が誰なのか」を明確にすることです。言い換えるなら、「ホームページを見てもらいたい相手」をイメージするということです。
作ったホームページを実際に見てもらい、さらには見た人が問い合わせや仕事の依頼をしてくれなければ、目的を達成できません。そのため、ホームページを制作する時は「実際にどんな人に見てもらいたいのか?」「その相手はどんな情報を探しており、どんなデザインや画像に好感を抱くのか?」といったことを考える必要があります。
電気工事会社の場合は、主な対象が元請け業者(法人)なのか一般顧客(個人)なのかで、掲載すべき内容が大きく変わってきます。まずは、このどちらがメインターゲットなのかを決めた上で、その人の年齢・職業・性別・居住地・ニーズ・ライフスタイルなどを、細かくイメージしてみましょう。
このような「実際にいそうな架空の顧客像」のことを「ペルソナ」といいます。ペルソナに寄り添ったホームページを作れば、目的を達成できる確率が飛躍的に高まります。ペルソナ設定の詳細については、以下のページをご覧ください。
ホームページ制作のコツ③:内容を考える
ペルソナを設定したら、続いてホームページの内容を考えます。電気工事は幅が広く、強電なのか弱電なのかはもちろん、受変電設備の設置工事を含むものや電話・インターネット回線を扱うものなど、多くの種類があります。さらには、空調設備やダクトなどの配管工事も電気工事に含まれる場合があるため、自社で請け負える工事範囲は明確に示さなければなりません。
その上で、ペルソナがどんな情報を必要としているかを明確にすれば、掲載すべき内容が決まってきます。電気工事会社であれば、工事範囲をはじめとして、料金・対応地域・作業時間・依頼方法・連絡先・所在地・法人名・代表者名・お問い合わせフォームなどを掲載することになるでしょう。
また、「信頼できそうか?」「技術のある会社か?」といった疑問は、多くのユーザーが抱いています。これらに対しては、見積もりを提示していることや施工事例の掲載などで対応するといいでしょう。
もちろん、ただ情報を掲載するだけでなく、より好感を持ってもらえるようにする工夫が必要です。そこで、以下の4つのポイントを意識しておいてください。
1:対応地域、営業時間、電話番号などを目立つところに掲載する
「電気設備が故障した! 今日中に修理して!」など、突然のトラブルに慌てて依頼先を探している人は大勢います。そこで、対応地域や営業日・営業時間、電話番号などは目立つところに掲載しておきましょう。「今すぐ依頼できるか?」「どこに連絡すればいいのか?」が一瞬で判断できるため、依頼がとてもスムーズになります。
また、連絡先がメールでも構わないのですが、メールの返信には時間がかかるため、急いでいる方は電話で連絡したいと考えるでしょう。複数の連絡先がある場合でも、電話番号は1番大きく表示しておくのがおすすめです。
2:施工事例を多く掲載する
会社の技術力や実績のアピールとして、最も効果的なのが施工事例の掲載です。施工事例を紹介するページを作成し、できる限り多くの施工事例を掲載しておくと、技術力を重視するお客様の興味を引くことができます。お客様の喜びの声もあわせて掲載すると、さらに信頼性がアップします。
3:料金案内や見積もり方法を詳しく紹介する
依頼の際、多くのお客様が気にかけるものといえば料金です。特に一般顧客では、「見積もりだけでお金を取られないか?」「不当な高額請求をされないだろうか?」と不安に感じる人もいます。
そのため、料金案内や見積もり方法については、エンドユーザーからの工事受注を目的とする場合、できる限り詳しく掲載しましょう。たとえば、「お見積りには料金はかかりません」「必ずご納得いただいた上で契約・作業します」といった文章が記載されていれば、お客様も安心して相談できます。
4:作業員の顔が見えるようにする
電気工事をする時は、お客様のご自宅やオフィスなどに入ることも多く、「どんな作業員が来るのだろう?」と心配するお客様もいます。その解決策として、ホームページには作業員の写真を掲載しましょう。どんな人が来るのかが事前に把握できれば、お客様も安心です。
掲載する写真は笑顔が基本ですが、真剣に作業に取り組む様子の写真を掲載し、技術力や誠実さをアピールするのもいいでしょう。女性スタッフが在籍しているなら、その写真を掲載してアピールしておくと、女性や年配のお客様はより安心します。スタッフの紹介ページを作り、それぞれの意気込みやメッセージを掲載して、親近感を与えるのも効果的です。
ホームページ制作のコツ④:デザインをイメージする
ホームページに掲載する内容が決まったら、次はホームページのデザインを考えます。重要なのは、自分ではなくユーザー(ペルソナ)が好感を抱くデザインにすることです。元請けやメーカー向けなら、信頼性を重視したイメージに。一般顧客向けなら、親しみのあるデザインにしてお問い合わせのハードルを下げましょう。
とはいえ、具体的にどのようなデザインにすればいいのかわからないことも多いはずです。そこで、デザインの基本的なポイントをご紹介します。
1:安心感や信頼感がある色を選ぶ
青系の色には信頼感を、緑系の色には安心感を与える効果が期待できます。特に会社やサービスのロゴが決まっていないなら、これらの色を基調としてデザインするといいでしょう。ロゴが決まっている場合は、その色を基調として全体のデザインを決めると統一感が出ます。
また、文字情報には見やすい色を使うのが基本です。さらに、赤や黄色は「危険」「注意」を感じさせてしまう上に見づらいため、特に意図がない限りは多用しない方がいいでしょう。
2:大きな写真や文字を効果的に使う
大きな写真や文字はインパクトが抜群です。特に、トップページに表示される写真は、そのホームページの第一印象を左右します。スタッフの笑顔の写真など、信頼感や安心感を与えられる写真を掲載しましょう。加えて、「◯◯ならお任せください!」「即日対応可能」「見積もり無料」といったメッセージを大きな文字で掲載すると、サービス内容が分かりやすくなり安心感が高まります。
3:レスポンシブデザインのホームページを導入する
「レスポンシブデザイン」とは、ホームページの表示を、閲覧する端末の画面サイズに合わせてシステム側で自動的に最適化するデザインの仕組みです。簡単に言うと、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットといったモバイルでも、見やすいようにする(=モバイルフレンドリー)というものです。
個人の方はスマートフォンでの閲覧が一般的なので、法人・個人の両方を狙っている電気工事会社さんの場合は多種多様な端末への対応は必須、というのは理解いただけるかと思います。しかし、「ウチは元請け・法人しか狙ってないから、スマートフォンからの見え方は無視していいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
近年は、スマートフォンやタブレットからホームページを閲覧するユーザーが圧倒的に多いことから、Googleなどの検索エンジンも、モバイルフレンドリーなWebサイトを評価し、検索結果に表示する傾向があります。つまり、レスポンシブデザインを採用することはSEO対策(検索順位対策)にもつながりますので、個人をターゲットとしない電気工事会社さんであっても、必ず対応しているホームページを導入しましょう。
ホームページ制作のコツ⑤:制作方法を決める
ホームページを制作する方法としては、大きく分けて「自作する方法」と「専門業者に依頼する方法」があります。基本的には、専門業者に依頼するのがおすすめです。
制作スキルのない方が自作しようとすると、学びながらの制作になってしまい、かなりの時間がかかってしまいます。品質も不十分になりやすく、結局挫折して放置……というケースも少なくありません。本業の都合もあるでしょうから、信頼できる業者に制作を委託するのが望ましいでしょう。
なお、どうしても自作しなければならない場合は、「ホームページ制作ツール」を使うのがおすすめです。ホームページ制作ツールを使えば、ITの専門知識がない方でもホームページを作成できます。ホームページ制作ツールにもさまざまな種類があるため、選び方のポイントを簡単にご紹介します。
1:使いやすいツールを選ぶ
最も重要なのは、制作・更新の担当者が実際に使いやすいと感じるかどうかです。ホームページは一度作れば終わりではなく、公開後も随時更新を続けることで効果を発揮します。気軽に更新できるようにするためにも、できる限り使いやすいものを選びましょう。無料で体験できるツールもたくさんあるので、いろいろ試してみるのがおすすめです。
2:サポートやマニュアルが充実しているものを選ぶ
ホームページの制作中は、どうしてもわからないことが出てきたり、トラブルが発生したりすることがよくあります。マニュアルを読んでも、「専門用語だらけでまったくわからない!」というケースは珍しくありません。マニュアルが初心者にもわかりやすく作られており、サポートサービスも充実しているツールを選ぶのがおすすめです。
3:続けやすい価格のものを選ぶ
ホームページ制作ツールの料金は、月額3,000円〜1万円程度です。ただ、高額なプランや有料オプションを利用しないと機能が制限され、イメージ通りのホームページが作れない場合もあります。総額でどのくらいの費用がかかるのかをしっかり計算して、無理なく支払えるツールやプランを選びましょう。
電気工事会社のホームページ制作例:3選
電気工事会社のホームページ例として、ここでは3つの例をご紹介しようと思います。
日本空調メンテナンス株式会社(東京都板橋区)
空調工事会社から独立し、会社を設立。飛び込み営業などでもうまく顧客を獲得できなかったところでWeb集客に着目。ホームページを導入後は順調に工事受注を獲得しています。特筆すべきは、請負可能な工事内容一覧。ベアリング(軸受)交換から給排気口清掃まで、それぞれの工事内容の詳細を詳しく解説。ECサイトのような分かりやすい工事メニューで、元請けから工場・店舗オーナーまで、幅広い顧客を獲得しています。
阿部電気株式会社(大分県大分市)
企業ロゴにも採用されたブルーを基調としたホームページ。もともと専属の手間請けとして仕事を請け負っていましたが、先々のことを考え「仕事の幅を広げたい」ということでホームページを導入されました。顧客に合わせて「法人の方へ」「個人の方へ」と、それぞれ別ページで展開。会社紹介動画も施工事例もしっかり掲載した結果、工場1棟のすべての電気工事を請け負うまでになりました。
和興電業株式会社(千葉県白井市)
先代社長から受け継いだ代表が務める電気工事会社。事業を受け継いだ当初は決まった元請けからの紹介で法人向けの電気工事を中心に手掛けていましたが、先行き不安から本格的に事業の立て直しを計画。地元に求められる「まちの電気屋さん」を目指し、ホームページを導入。エンドユーザーの窓口を広げるため、個人向けの入口ページを設置しています。また施工事例ではマンション1棟の工事実績を掲載したところ、新規の管理会社やサブコンからの依頼を獲得。法人からも個人からも工事依頼が入り、仕事が安定的になったとのことです。
まとめ
電気工事会社には、IT関連の部署がない場合が少なくありません。そのためホームページを制作しようとしても、制作方法や内容が掲載すべき内容がわからず、苦労することも多いでしょう。
しかし、今回ご紹介したようなポイントを押さえておけば、目標達成につながる効果的なホームページを制作できます。まずは導入の目標を明確にした上で、顧客像、内容、デザイン、制作方法などを順番に決めていくことが大切です。
実際の制作は専門業者に依頼することが多いかと思いますが、その際にも上記の情報を細かく伝えれば、イメージ通りのホームページを作ってもらえるでしょう。ホームページ制作の前には、制作のポイントを必ずチェックしておいてください。