「企業のブランディング」というと、どうしても大企業のみのものというイメージがありますが、実は中小企業にとってこそブランディングが必要ですし、中小企業が独自のブランドを確立することも可能です。
本記事では、そもそもブランディングとは何か? というお話から、工務店向けの具体的なブランディング施策についてお伝えいたします。
ブランディングとは?
ブランディングとは、自社ブランドに対して認知度や信頼感、共感性を最大限に高める活動のことで、「競合他社との差別化を実現する」ために必要なことです。 近年では、商品やサービスだけでなく企業経営にも必要としている会社も少なくありません。
ブランディングの代表例としては「ディズニーランド」が有名です。ディズニーランドには、世界トップクラスの絶叫マシンがあるわけでもなければ、他の娯楽と比べたときに値段も決して安いわけでもありません。それでも世界的に大盛況なのは、夢と魔法の国という名前通りのブランドイメージがあるからです。ディズニーランドは外観による見栄えはもちろんのこと、スタッフ1人1人もブランドイメージにふさわしいふるまいをおこなっています。そのような企業努力が独自のブランディングになり、結果としてジェットコースターの速度や入園料金などで他社との比較をしないで済むレベルのものになっています。
工務店で言えば、独自のブランドとして品質やこだわりがお客さんに伝われば、「他社より価格を下げることでしか受注できない状態」から脱却することができます。
ブランディングのメリット・デメリット
メリット1:価格競争を回避して高い利益率を確保できる
企業や商品にしっかりとしたブランディングがあれば、価格勝負以外の要素で勝負を行うことができます。
親切丁寧な施工を行う会社というブランディングがあれば、安全性や快適さ、機能性、アフターサービスなどの要素で御社を選ぶことでしょう。
信頼と実績を積み重ねたブランド工務店になれれば、世間の相場よりも高い価格の施工でもユーザーは納得して購入を検討します。
メリット2:広告の効果が高まる
会社がしっかりとしたブランディング意識を持つことは、広告の効果にも影響を及ぼします。会社としてのブランディングがないままCMやチラシなどの広告活動を行っても、ユーザーは「信頼できなさそうな会社」「何を伝えたいのか分からない」となってしまいます。
きちんとした独自のブランドイメージが備わっていれば、15秒のCMでも主張をしたい内容が明確化しますし、一貫したブランドメッセージが信頼性にも繋がることでしょう。
メリット3:従業員のパフォーマンスにも影響する
社会的に意義のあるブランディングは顧客だけでなく、従業員にも良い作用を及ぼします。
上述でディズニーランドにご紹介しましたが、ディズニーランドの真の強みは「仕組み」ではなく、「人材」と言われています。ディズニーランドで働くスタッフの多くは、本人もディズニーランドのファンであります。そのため、マニュアルが通じない局面でも、自発的に「ディズニーらしいふるまい」をし、顧客を喜ばせています。
ディズニーランドは採用の時点でディズニーが好きな人が多く集まっており、そのことが夢と魔法の国を実現するための貢献意識に繋がっています。
要点をまとめると、社内の意識統一がしっかりできていれば、帰属意識にもなりますし、最高のパフォーマンスにも繋げることができます。
デメリット1:ブランドが確立するまで時間を要する
ブランディングをしようと考えても一朝一夕で構築するのは困難です。ブランドを確立するためには、日々のサービスや接客などをブランドの方向性に寄せる努力が必要ですし、認知度の向上を図る活動もしなければなりません。
取り組むことがたくさんありすぐに期待している効果が出にくいことがあります。そのため諦めずに地道に取り組むことが必要です。
デメリット2:信頼が崩壊するリスクがある
ブランドを確立させるのはものすごく大変ですが、その一方で積み上げた信頼が崩壊するのはそう時間は掛かりません。近年ではSNSや口コミサイトの爆発的な普及により、企業の不祥事はもちろんのこと、ちょっとした応対についても悪い譲歩として伝わり広がってしまいます。一度炎上すると長期に渡ってそのブランドは悪いイメージを持たれてしまいます。
企業のブランディング価値を創出するのであれば、経営陣だけでなく各従業員も同じブランドに向けて日々の業務に取り掛からなければなりません。
工務店のブランディング事例
一条工務店
工務店の中でブランディング戦略が上手に行われている企業の1つとして、一条工務店が例として挙げられることが多くあります。一条工務店がブランディングとして掲げているのは、高機能・高性能な住宅作りです。
高性能な家や自社の持つ技術を、さまざまなコンクールへ積極的にエントリーしてアピールし「省エネ大賞 経済産業大臣賞」「グッドデザイン賞」などを受賞しています。
そうした取り組みが顧客への信頼アップに繋がり、テレビCMなどマスメディア広告をあまり行わないにも関わらず幅広い認知獲得に繋がっています。
ブランディングを行う際のポイント
しっかり取り組めば企業にとって良い効果を生むことができるブランディング。次にブランディングを行う上で重要なポイントについてお伝えいたします。
ブランドコンセプトを明確にする
ブランディングを成立させるために一番重要なことは、そのブランドのコンセプトを明確にすることです。コンセプトは、自社の強みから、競合との比較、自社の理念など様々な要因から決定されます。
一度コンセプトを決定すると、それに沿って日々の業務や事業戦略、経営判断をしなければなりません。急にコンセプトを変更するのは難しいため、ブランドコンセプトは熟考の末に決断されることをおすすめします。
社員全員でブランドコンセプトを共有する
例えば、御社のブランドを「他社と同規格の家をリーズナブルに作れる会社」というものにしたとします。そのブランドを見て問い合わせをしたお客様に対して、高額のハイスペックな注文住宅を提案したらどうなるでしょうか? 恐らくブランドとのギャップを感じてお帰りになられると思います。
反対に、「高級志向を心がけている会社」なのにも関わらず「他社よりもお安くできます」と営業をしてしまえば、ブランドコンセプトの一貫性がとれなくなってしまいます。
コンセプトに反した営業や施工を行おうとすればお客様とのズレが生じてしまいます。そうならないために経営陣はもちろんのこと全社員全員とブランドコンセプトを共有できるような取り組みを行うことが必要です。
ブランドコンセプトを伝える取り組みを行う
ブランドコンセプトをお客様に伝える活動もブランディング戦略では必要になります。
例えば、上述の事例でご紹介した一条工務店であれば、写真共有SNSであるInstagramを通じて自社のブランドを不特定多数の方に伝えています。
また、弊社がホームページを通じた集客のご支援をさせていただいている「リフォーム仙台花まる」様の場合は、ホームページを通じて地域に根差した高品質のリフォーム業者であることをアピール。その結果として、県をまたいだお客様からも認知されています。
「リフォーム仙台花まる」様の事例をはこちらからご確認いただけます。
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おわりに
ブランディングはコンセプトの選定だけで終わらず、お客様に御社のことを理解していただき、信頼と共感を得ることができて、はじめて完成します。どのプロセスも簡単ではなく、すぐの成果も出づらい取り組みです。
しかしブランディングによる結果が伴えば、他社との価格競争に巻き込まれることを防ぎ、自社のコンセプトでお客様を獲得することに繋がるのは間違いありません。
他社との差別化をする意味でも、必須といえるブランディング。御社でも取り組みのご検討をされてみてはいかがでしょうか?