「成果の出ているホームページ」と「とりあえず作ったホームページ」で何が異なるかといえば、1番大きいのは「導線」「導線設計」ではないでしょうか? 逆にいえば、成果を大きく左右するのが「導線」なのです。
成果を求めない名刺代わりのホームページであれば、導線設計に力を入れる必要はないかもしれません。しかし、ホームページの活用次第では、新たな取引先や優秀な職人の採用応募を呼び込み、事業に大きな利益をもたらす可能性があります。
では、結果を出せるホームページの導線とはどんなものなのでしょうか? 本記事では、ホームページ設計における導線設計のポイントについて解説します。
「導線」の設計から分析、改善・運用方法とは?
ホームページ制作においては、制作者・管理者がユーザーを導く行動経路である「導線」の設計と、ユーザーが実際に動いた行動経路である「動線」の分析が重要なポイントになります。まずは、導線設計と動線分析の基本的な流れを確認しておきましょう。
STEP1:ユーザー目線で導線設計を行う
まずは、ユーザーの目線に立ってホームページの導線設計を行います。ホームページのゴールである工事の成約や求人採用への応募に、ユーザーが自然と到達できるようにすることが重要です。
STEP2:ユーザーの動線分析を行う
導線設計の次は動線分析を行い、ユーザーの実際の行動を分析します。Googleアナリティクスなどのツールを使い、滞在時間や直帰率といった重要な指標を定期的にチェックしましょう。
STEP3:動線分析の結果をもとに導線を改善する
動線分析の結果、期待したような成果が出ていない(ユーザーが想定通り動いていない)場合は、導線設計に問題がある可能性があります。動線分析の結果をもとに問題点を特定し、導線設計を再度行いましょう。
STEP1:「導線設計」3つのキホン
導線は、しっかりと作り込んでこそ効果を発揮します。導線設計における基本的なポイントは以下の3つです。
ユーザーの行動を考え丁寧に導線を設計する
導線は何となく「こう動くだろう・動いてほしい」と考えて設計するのではなく、ユーザーの行動を細かく考え丁寧に設計することが大切です。特に、工事の問い合わせなどの行動を起こしてもらうのが目的である場合は、より確実に目的へ誘導できるような導線を設計する必要があります。
そのため、「どこでどのような情報を与えれば目的に到達するか」を考え、ホームページの構成やデザインなど、さまざまな点に目を向けて導線を設計しましょう。ユーザーのペルソナを設定し、ニーズや流入経路に合わせて複数の導線設計を行うと、さらに効果がアップします。
ナビゲーションを活用する
導線設計は、ページ内のコンテンツに限定する必要はなく、むしろ適切なページやWEBサイトに誘導してこそ効果を発揮します。「グローバルメニュー」「サイドメニュー」「ヘッダ」「フッタ」など、各種ナビゲーションを活用し、「どこにどのような情報があるのか」をユーザーにわかりやすく伝えましょう。
動線分析をもとに修正を繰り返す
導線は一度設計したら終わりではなく、成果が出るまでは動線分析をもとに修正を繰り返す必要があります。時には、ユーザーの動きが設計した導線と大きく乖離していることもあるでしょう。場合によっては、1から動線を設計し直した方がいいケースも考えられます。コンテンツの中身からボタンの配色・大きさに至るまで、さまざまな角度から分析と修正を続けてください。
STEP2:「動線分析」3つのキホン
導線設計を改善する上で欠かせないのが動線分析です。動線分析に問題があると正しい情報を収集できず、結果として導線設計もうまくいきません。動線分析の際は、基礎として以下の3つのポイントに着目しましょう。
どこから流入しているか?
動線分析はホームページ内だけでなく、ユーザーの流入経路から行う必要があります。広告やSNSなど、ユーザーの流入経路はいろいろあり、それぞれ反応率も異なるでしょう。反応率がいい流入経路がわかれば、そこに予算を割くことができ、より効率的な集客が行なえます。
どのように閲覧しているか?
ホームページを訪問してくれたユーザーも、求めている情報がわかりやすい形で得られなければ、すぐに離脱してしまいます。そこで、Googleアナリティクス(GA4)などのツールを活用し、ユーザーがどのようにページを閲覧しているのかも分析しましょう。
特に重要な指標としては、滞在時間・直帰率・セッション数・よく見られる記事・コンバージョンなどが挙げられます。また、ヒートマップを使えば、ページごとのユーザーの動きや離脱した場所を把握することも可能です。各指標を分析すればユーザーの動線が可視化され、効果的な対策を講じることができます。
どこへ流出しているか?
動線分析では、ユーザーがどこから離脱しどこへ流出しているのかも重要なポイントです。余計なリンクや広告から流出するなど、思わぬ要因でコンバージョン率が下がっていることは珍しくありません。流入経路やホームページ内の導線に問題がないにもかかわらず、コンバージョン率が高くならない場合は、離脱場所や流出先を確認してみてください。
STEP2-ドリルダウン:「動線分析」4つの具体例
分析方法や有効な施策の基本がわかっていても、実際にどうやって導線を設計すればいいのか、果たして正しいのかどうか不安な方は多いと思われます。そこでもう少し深掘って、動線分析の具体例を4つご紹介します。
流入キーワードからのニーズ推測
最も基本的な方法の1つが、流入キーワードからユーザーのニーズを推測する方法です。ユーザーのニーズ次第で、必要な導線設計は大きく変わってきます。
たとえば、「内装工事 (地名)」というキーワードで検索して流入してきたユーザーは、その地域で工事を依頼できる工務店を探しているわけですから、コンバージョンに近い見込み客です。このようなユーザーは、施工事例やeBook・ホワイトペーパーなどの資料系や、キャンペーンを導線にするといいでしょう。
一方、「外壁塗装 何年」「雨漏り 放置」「協力会社 選び方」といったキーワードから流入してくるユーザーは、トラブルや悩み事があって知識を集めている段階だと考えられます。こういったユーザーには、資料に加えてブログやメルマガ登録、SNSなどを導線とし、情報提供をしつつ依頼への意欲を高めるのがおすすめです。
検討プロセスの段階からの推測
検討プロセスのどの段階にいるかによっても、ユーザーが必要としている情報は異なり、適切な導線も変わってきます。そのあたりは、貴社クライアントのカスタマージャーニーマップを作成することで、見えて来ます。
どんな状態・温度感の顧客に対して、どんなコンテンツを充てれば次のフェーズに進んでもらえるのか? たとえば、記事コンテンツで工事の知識などの情報収集をしているユーザーは、より具体的で中身の濃い情報を求めている可能性が高いため、ホワイトペーパーやメルマガを導線にするといいでしょう。
また、「劣化した外壁を修理したい」「人手が足りないので協力業者を見つけたい」といった、具体的な解決方法を探している段階のユーザーは、少しでも早く悩みを解決したいと考えているはずです。このような人は、事業内容や施工事例のページに案内するとコンバージョンに近づきます。そして、相談手前で不安を感じている段階の人には、「相談・見積もり無料」などの情報で安心感を与え、最後の一押しをするといいでしょう。
流入元からの推測
ホームページへの流入元から、訪問するであろうユーザーを予測し、最適な導線を設計することもできます。流入元はいろいろありますが、特に割合が高く重要なのは、検索エンジン(Googleなど)とSNS(X、Instagramなど)です。
検索エンジンから流入するユーザーは、自ら情報を調べているので、興味関心が高い見込み客だと考えられます。そのため、施工事例やホワイトペーパーなど、具体的なサービスの情報を盛り込んだ導線を作るといいでしょう。
一方、SNSから流入してくるユーザーは、それほど関心が高いわけではなく、流れてきた投稿などを通じて少しホームページをのぞいただけというケースが少なくありません。そのようなユーザーに自社の技術力や施工事例をアピールしても時期尚早なので、SNSフォローやLINEの友だち追加など、簡単にできる行動を促す導線設計がおすすめです。
コンテンツごとに導線を用意する
導線は1つだけ用意すればいいわけではありません。コンテンツによって満たせるニーズは異なるので、それぞれに合わせた導線を設計すると効果的です。
たとえば、工事の豆知識を解説しているブログの読者は、悩み事を解決したいと考えているユーザーが多いはずなので、メルマガやホワイトペーパーを導線にしてより具体的な情報を提供するといいでしょう。また施工事例のページを見ているユーザーは、すでに工事の依頼を検討している段階と思われるため、無料相談やお問い合わせフォームを導線にすべきです。
STEP3:「ホームページ導線の改善」4つのコツ
最初に解説したように、導線設計をした後は定期的に動線分析を行い、導線を改善していくことが大切です。そこで最後に、導線の設計・分析・改善をする際の、より踏み込んだ4つのコツをご紹介します。
チャネルの「根本」を改善する
ユーザーが狙い通りに動いてくれない場合、原因の多くは「導線がわかりづらい・使いにくいこと」です。導線そのものがよくわからなければ、どれだけいいコンテンツをそろえても結果は出ません。
たとえば、ホワイトペーパーのダウンロードへの導線の場合、まずは他のページからの遷移よりも、コンバージョンの最終段階ともいえるEFO(入力フォーム最適化)に目を向けるべきです。コンテンツに手を加えることばかりを考えるのではなく、チャネルの「根本」部分の改善を常に意識しておきましょう。
目的に合った数値を参考にする
Googleアナリティクスなどのツールを活用すると、さまざまな数値を調べられます。とはいえ、多くの数字が並んで混乱する場合もあるでしょう。数値を使いこなすためのポイントは、目的に合った数値を参考にすることです。
たとえば、自社の認知度アップを目的にしている場合は、ホームページへの流入数や会社名での検索数などが重要な数値です。流入数が増えているなら、施策が効果を発揮して知名度がアップしていると考えていいでしょう。
ページ内の導線を目立たせる・わかりやすくする
チャネルの項目でも触れた通り、「導線がわかりにくい」ことは最も避けなければならない事態です。ページ内の導線は、誰でも一目でわかるように設計しておく必要があります。ボタンやバナーを導線にして視覚的に判断できるようにしたり、「ここをクリック」などの文言を入れたりするのが効果的です。
自社のリソースに見合った導線を選定する
ホームページの導線は、自社のリソースに見合ったものを選定することも大切です。十分な運用リソースがない状態でさまざまな導線を設置しても、思うように活用できず成果につながりません。
よくあるのが、人手不足でSNSやメルマガの更新が止まってしまい、せっかく登録・フォローしてもらえたのに意味がなくなってしまうというケースです。ホワイトペーパーなどの資料のダウンロードも、設置自体は気軽にできるのですが、営業リソースがなければ活用は難しいでしょう。導線を設置する際は、実行と検証、改善を継続できるかどうか、リソースと照らし合わせて検討してください。
ホームページの導線設計で押さえておきたい重要箇所
ここからは、導線設計のより具体的な方法や施策例を見ていきましょう。実はホームページの導線設計では、ユーザー誘導のカギとなる重要な箇所がいくつかあります。見逃してはいけない重要箇所を確認しておきましょう。
1stビューの中央
1stビューの中央は、ホームページを訪問したユーザーが最初に目にする部分です。ここに導線を作っておけば、多くのユーザーにアピールできます。逆にいうと、導線をうまく設置していなければユーザーが即座に離脱する可能性もあるため、わかりやすくしておきましょう。
コンテンツ内・記事の途中
コンテンツ内には、ボタンやバナー、リンクを配置して導線を作ることができます。ポイントは、いかにも誘導しているという雰囲気を出さず、さりげなく配置することです。たとえば、自社の施工技術を説明する記事の中で「お問い合わせはこちら」「関連記事はこちら」とテキストバナーを配置しておけば、自然にユーザーの背中を押すことができます。
コンテンツの最後
コンテンツを最後まで読んでくれたユーザーは、自社の技術力や施工事例に強い関心を持っている可能性が高く、コンバージョンまであと一歩です。そのため、コンテンツの最後には必ず導線を用意しておきましょう。施工事例の後にお問い合わせフォームを設置するのが定番の手法です。
このほか、もう少し深掘りたいユーザーに向けて関連コンテンツを掲示したり、認知拡大・拡散目的でSNSのシェアボタンを設けるのも定番になっています。ただし回遊経路をいくつも設けていると、回遊中にユーザーの熱が冷めてコンバージョン数が減ってしまう可能性もあります。そのあたりは適宜、運用しながらバランスを見ていきましょう。
オーバーレイ(フロート・ポップアップ)型のCTA
オーバーレイとは、コンテンツの上に重ねるようにして、常に表示されている導線です。たとえば、「お問い合わせはこちら」「資料請求はこちら」といったリンクをオーバーレイ表示しておくと、興味を持ったユーザーが迷わずに移動することができます。ユーザーの意思決定を促せるのがメリットですが、コンテンツが見える画面が小さくなるため、デザインには工夫が必要です。
サイドバー(サイドカラム)
サイドバー、サイドカラムはコンテンツの横に表示されている部分です。主にホームページの各カテゴリーへのリンクや広告などを掲載します。サイドバーに導線を設置すると、コンテンツの中身の邪魔をすることなくユーザーを誘導できます。オーバーレイと同じく、興味を持ったユーザーが迷わず移動しやすいのもメリットです。
導線設計のキーポイントとして使える6つのマイクロCV
導線設計における有効な施策例・マイクロCV(マイクロコンバージョン)の例を見ていきましょう。コンバージョンである「お問い合わせ」「見積り依頼」を求める導線設計をするのは当然ですが、それだけだと結果の出口は絞られてしまいます。
そこで導線設計に組み込みたいのが、本来のコンバージョンと比べてハードルが低く、リード数を積み上げやすいマイクロCV。温度感が低いリードではありますが、中長期的に醸成していけば、結果出口は拡大します。また、マイクロCV自体が魅力のあるツールとして、導線のキーポイントとなる役割を持たせる使い方もできます。
ここでは、多くのホームページで実践されている効果的な施策として、以下の6つを挙げておきます。
LINE・メールマガジンへの誘導
LINEやメールマガジンは、集客動線の入り口として効果的なのに加え、ユーザーの情報を簡単に取得できる施策です。特にLINEは、日本のスマホユーザーの大半が利用しており、登録も簡単なので「とりあえず登録しておこう」という動きが期待できます。もちろん、最終的な問い合わせや情報拡散の手段としても有効です。
SNSへの誘導
ユーザーに自社のSNSアカウントをフォローしてもらうのも、集客導線の確保や問い合わせ獲得、情報提供の手法として有効です。特に最近は、まずSNSで情報収集を行う人が増えており、効果を発揮しやすくなっています。SNSからホームページへ誘導する、あるいはホームページ上でSNSアカウントのフォローを促すといった連携を考えましょう。
eBook・ホワイトペーパーのダウンロード
eBookやホワイトペーパーをホームページからダウンロードできるようにしておくと、「とりあえず資料だけ」というユーザーの行動を促すことができます。eBookやホワイトペーパーをDLするユーザーの多くは、情報収集や他社との比較検討をしている段階です。作り込んだeBook・ホワイトペーパーを用意すれば、自社の魅力を伝えて見込み客を獲得できます。また、提供する際に情報を入力してもらい、ユーザーのリストを作ることもできます。
事例資料のダウンロード
事例資料は、自社の商品・サービスの成果をユーザーに知らせるための施策です。工務店の場合は施工事例が該当します。ユーザーに自社のことを知ってもらう上で最も重要な資料であり、ユーザーの信頼や安心感を獲得できれば、一気に問い合わせへとつながります。導線には必ず組み込み、さらに問い合わせフォームなどに誘導できるようにしましょう。
プレゼントや割引クーポンの活用
「見積りをお申し込みいただいた方にはクーポンをプレゼント!」といった施策を用意すると、似たような工事を提供している競合他社に比べ、自社が選ばれる確率がアップします。ホームページの目立つところに表示すれば、導線設計においても大きな効果を発揮するでしょう。
ただし、LINEの登録など簡単にできることでプレゼントをすると、自社に興味のない人にまでプレゼント費用を使うことになるため注意が必要です。基本的には、コンバージョン直前の顧客の背中を押す施策といえます。
セミナーへの参加促進
オンラインセミナーを導線として使うのも1つの手段です。建設工事はBtoB・BtoC問わず高額な買い物ですから、ホームページ上の情報だけで依頼先を決める方は多くないでしょう。セミナーによって自社の魅力を伝え信頼を獲得できれば、ゴールへと大きく近づきます。見込み客と直接話せるのが、eBookや事例資料にはないメリットです。
まとめ~ホームページは導線設計で成果が変わる!
導線設計は、ホームページの制作・運用における最重要ポイントの1つです。効果的な導線を設計すれば、ユーザーをスムーズにコンバージョン/マイクロコンバージョンへと至らせ、工事成約や人材の獲得につなげることができます。
そして導線設計においては、ポイントを押さえて設計するのはもちろん、動線分析と改善を繰り返すことが何よりも重要です。ホームページそのものが長期間にわたって運用するものであり、導線も成果につながるまで改善するものだということを理解しておきましょう。もし導線設計がうまく行かない・成果が出ないという場合は、弊社BRANUのような専門業者にアドバイスを求めてみてください。