大手に打ち勝つ!地域密着型工務店の「イベント集客」を成功させる5つのポイント

     
集客
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完成見学会や資金セミナーといったイベントは、地域密着型工務店にとって顧客獲得の大きなチャンスです。最近はコロナ禍も落ち着き、リアルイベントも以前のような賑わいを取り戻しつつあります。

しかしながら、「イベントを開催してもなかなか人が集まらない」と悩む工務店さんも多いかと思います。そこで本記事では、イベント集客を成功させるためのポイントをまとめました。

新規顧客獲得に効果的な集客イベント

まずは、新規顧客の獲得におすすめのイベントをご紹介します。住宅は頻繁に購入するものではないため、新規顧客の開拓にかかるコストが高くなりやすいのが悩みどころです。しかし、開催原価の低いイベントを開催すれば、効果的に集客を図り顧客リストを充実させることができます。

モデルハウスや完成住宅・構造見学会

最も基本的な集客イベントの1つが、モデルハウスや完成住宅、建設途中の構造などを見せる見学会です。設備メーカーによっては、貴社店舗からメーカーショールームまでバスを手配してくれる定期イベントがありますので、それに便乗するのも有効です。

ただ、来訪するのは購買意欲がある程度高まっている顧客が中心なので、競合他社との獲得競争は激しくなります。効果を出すためには、ただ家を見てもらうだけでなく、顧客のライフスタイルに切り込むことが重要です。後述する宿泊体験会も、その手法の1つといえます。

モデルハウスや完成住宅の見学会

子供向け工作教室(こども工務店)

ファミリー層の集客に向いているのが、親子で参加できる子供向けの工作教室です。認知度や印象をアップさせられるのに加え、木工系の工作を選べば、自社の職人の技術もアピールできます。夏休みなど、子供が長期休みに入っている期間に行うと効果的です。

子供向け工作教室(こども工務店)

地域向けのお祭り

地域向けのお祭りも、よく使われる手法です。主に地域住民の認知度を高めて好印象を獲得し、住宅の購入ニーズが発生した時に相談先として選ばれることを狙います。売り込み要素を強調する必要はなく、相談ブースを作る程度で構いません。

食べ物の屋台やマルシェ、抽選会、来場者プレゼント、ちょっとしたタレントを呼んでのショーなど、楽しそうなイベントであるほど集客効果は高いですが、自社で開催するには手間や費用が掛かり過ぎて見合わないと思いますので、基本的に自治体や他社が主催するイベントに便乗して出展するのがおすすめです。

地域向けのお祭り

土地探し・リノベーションツアー

土地探しやリノベーションに関するツアーは、「住宅を購入したいけれど、肝心の土地やリノベーションする住宅を持っていない」という顧客を発掘するために行います。こういった「意欲はあるけれど準備が整っていない顧客」に対し、具体的な土地や中古住宅を紹介すれば受注につながります。

新規顧客の開拓はもちろん、漠然とした購入意欲がある既存顧客に働きかけ、成約率をアップさせることも可能です。実施する際は不動産会社やディベロッパーとの協力が必要不可欠なので、企業開拓も行って連携できる企業を見つけましょう。

土地探し・リノベーションツアー

成約率アップに効果的な集客イベント

住宅は高価な買い物なので、実際に購入するまでの検討期間は長期化する傾向があります。たとえ自社に興味を持ってもらっても、長い検討期間中に競合他社との比較競争に勝たなければ、成約には至りません。

成約率をアップさせるためには、集客イベントを開催して顧客との接触回数を増やし、有益な情報を提供するのがおすすめです。効果的な4つの集客イベントをご紹介します。

住まいの勉強会

検討期間中の顧客と定期接触を図るために有効なのが、住まいの勉強会です。3ヶ月~半年を1クールとして、いい家を作るための勉強会を定期開催し、顧客の意欲を刺激して成約につなげます。スケジュールを指定して自社のこだわりを伝え続けることで、主導権を握って商談を進められるのがメリットです。

具体的なイベントの例としては、ハウスメーカー・工務店の選び方講習や、住宅の建築課程の見学会、インテリアに関するセミナーなどがあります。後述する宿泊体験会や資金相談セミナーに組み込んでもいいでしょう。

住まいの勉強会

宿泊体験会

モデルハウスを保有しているなら、宿泊体験会はぜひ開催しておきたいところです。家の良さというものは、実際に住んでみなければわかりません。自動車の試乗と同じ感覚で、顧客にモデルハウスで寝泊まりしてもらい、自社の家の魅力を知ってもらえば購買意欲を高めることができます。特にポイントとなるのは、バスルームとキッチン。現在の住まいで使っているものと比較して、おおよそグレードの高い最新設備のため、好感度は上がる要素しかありません。

なお、手間の問題から1つのモデルハウスに1日1組しか招待できないため、宿泊体験会は新規顧客の獲得にはあまり向いていません。あくまでも見込み顧客を対象とし、成約率アップの手段として使うのが基本です。

宿泊体験会

植樹会・産地訪問

自然素材や地産地消の家づくりにこだわっている工務店なら、植樹会や、構造材や床材の産地や製材所、土壁や珪藻土などの製造工場を訪れるツアーを開催するのもおすすめです。素材へのこだわりや地域資源を大切にする姿勢をアピールし、競合他社との差別化を図ることができます。いつも使っている材木問屋さん経由で、頼んでみる価値ありです。

植樹会・産地訪問

資金相談セミナー

家を購入する際に避けては通れないのが購入資金の問題です。ほとんどの顧客は住宅ローンを組むことになるので、専門家によるサポートを受け、安定した返済が可能かどうかを判断したり、建設予定地の自治体で使える補助金にどんなものがあるかなどを知っておく必要があります。FP(ファイナンシャルプランナー)や金融機関、保険代理店と連携し、資金相談セミナーを開いて顧客のライフプラン設計をフォローすれば、より具体的に案件を進められるでしょう。

資金相談セミナー

LTV向上に効果的な集客イベント

家は長期間にわたって住むものですから、一度販売して終わりではなく、アフターフォローを続けて信頼関係を構築することが大切です。また、丁寧にアフターフォローを行うと、LTV(※)の向上も期待できます。LTVを向上させるための集客イベントとしては、以下のものが挙げられます。

※LTV…Life Time Value。顧客生涯価値。1人の顧客との取引開始から終了までの間に得られる利益のこと。

OB会

アフターフォローにおいては、実際に自社が施工して住宅を建てた顧客を「OB」とし、定期的に会誌を送付したりOB会を開催したりするのが有効です。OB会を通じて顧客同士の横のつながりを形成すると、顧客の離脱を防止できるのに加え、顧客基盤を通じてアフターマーケット(リフォーム工事など)を開拓できます。

OB会

リフォーム相談会

住宅は住んでいるうちに経年劣化し、補修や設備の刷新が必要になります。ライフスタイルの変化に伴う間取り変更・バリアフリー化などが必要になることも多く、リフォームの需要はほぼ確実に発生します。

そんな既存顧客のニーズを拾い上げ、LTVを高めるためにも、リフォーム相談会はぜひ実施しましょう。集客はメルマガやDMで行いますが、あまりビジネス色を出しすぎないようにするのがポイントです。親身になって現在の悩みを聞き、客観的な立場からアドバイスをすると、顧客からの信頼が高まり成約につながりやすくなります。

リフォーム相談会

イベント集客を成功させる5つのポイント

イベント集客は、思いつきで何となく開催するだけでは成功しません。成果につなげるためには、十分な準備とアフターフォローが必要です。実行する際は、以下の5つのポイントを意識しておきましょう。

ポイント1:ターゲットを明確にし、告知に向けて顧客名簿を整備する

まず行うべきなのがターゲットの明確化です。新規顧客の獲得と既存顧客へのアプローチでは、対象者も集客方法も大きく異なります。新規顧客を集める時はチラシやWebサイトでの告知がメインですが、既存顧客の集客を図る場合はDMやメルマガの送付が重要です。

また、検討中の顧客とのコミュニケーション状況を細かくチェックするためにも、顧客名簿を整備しなければなりません。「どの顧客が今どんな状況なのか」を把握できていると、その顧客をどんなイベントに呼ぶのがベストなのかがわかります。マーケティングのフェーズ(認知→興味→行動→選択)を理解し、適した人を適切なイベントに誘いましょう。

ターゲットを明確にし、告知に向けて顧客名簿を整備する

ポイント2:年間スケジュールを立てる

イベントの開催には手間と費用がかかるため、思いつきで乱発すると負担が大きい割に成果が出ません。イベント集客を成果につなげるためには、計画的に開催することが何よりも重要です。まずは年間スケジュールを立て、十分な準備期間・告知期間を取り、PDCAを回しましょう。一部のイベントは定期開催するのも有効です。

年間スケジュール

ポイント3:見込み顧客との接触頻度を維持する

成約率アップの項目でも解れたように、獲得した新規顧客を成約へとつなげるためには、検討中の顧客との接触頻度を維持する必要があります。メルマガやDM、年末年始の挨拶を兼ねたカレンダー配布も接触するための手段ですが、顧客の愛着や購買意欲を高めるには、やはりイベントに参加してもらうのが最も有効です。イベント集客の計画を立てる時は、新規顧客を獲得するイベントだけでなく、既存顧客にアプローチするイベントも必ず組み込みましょう。

見込み顧客との接触頻度を維持する

ポイント4:紙媒体とWebを併用して集客を図る

最近はホームページやSNSなど、Webを活用した集客が一般的になっていますが、イベントに人を集める時は紙媒体とWebを併用するのがおすすめです。特に地域向けのお祭りや完成見学会、季節系のイベントなどは、地域の方が主に来場するため、エリアを限定したポスティングが大きな効果を発揮します。

工務店・リフォーム店のチラシ集客|相場や反響を増やすコツをご紹介
工務店が施主を呼び込むためには、集客活動が必要不可欠です。そこで昔から使われている有効手段がチラシやポスティングです。そこで本記事では、チラシ広告の特徴や相場、反響を増やす秘訣などをまとめてみました。

チラシに掲載する情報は最小限で構わないので、なるべく目を引くデザインにして、ホームページで内容を補足するという連携が効果的です。もちろん、ホームページやSNSでの宣伝・告知も行い、必要なら有料広告も活用しましょう。

紙媒体とWebを併用して集客を図る

ポイント5:イベントの目玉を用意する

イベントを開催する時は、強く興味を引く目玉企画を用意するのが有効です。見込み率の低い人の来場も多くなるという側面はあるのですが、まずは分母を増やすことが重要ですから、ぜひ目玉を用意しておきましょう。また、エンドユーザーは「メリットが無いと、基本的に動こうとしない」という点も、しっかり念頭に置いておきましょう。

例としては、プレゼント企画やクイズ大会・ビンゴ大会などが挙げられます。バルーンアートなどの派遣パフォーマーを呼んだり、輪投げや金魚すくいといった子供が喜ぶ企画を用意したりするのもいいでしょう。家族で楽しめる目玉企画があるとファミリー層が来場しやすくなり、イベントの効果が大きく高まります。

イベントの目玉を用意する

まとめ:ポイントを押さえてイベント集客を成功させましょう!

イベント集客は、工務店にとって重要なマーケティング手法です。新規顧客の獲得と既存顧客へのアプローチの両方に活用でき、うまくいけば大きな効果を生み出せます。また、すぐに結果につながらなくても、イベント開催によって潜在顧客(まだまだ客/これから客)の名簿・リストの獲得は確実にできます。中長期的視点で大切に温め、育成・醸成していくことで大きな結果につながります。

ただし、イベントがいくら有効だとは言っても、思いつきで開催しても成果にはつながりません。イベントの開催には手間や費用もかかりますから、目的や対象者を明確化するとともに、準備や告知に十分な時間をかけて計画的に開催することが大切です。この記事でご紹介したポイントを押さえ、最適な集客イベントを検討してみてください。

     
この記事を書いたライター
政所健司

建築専門出版社にて住宅誌の編集長を歴任。国交省・住宅金融支援機構・NEDO等の広報誌制作業務に参画後、LIXILリフォームショップFC店の企業広報を経て現在BRANU株式会社にてマーケティングを担当。「現場で一番汗を流している人たちこそ主役に」という考えのもと、中小零細企業へのIT支援・DX支援・事業支援を通じて建設業界の古い産業構造の改革を目指す3児の父。

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