デジタルマーケティングにおいて、リード獲得の最後のフックとなるのが「フォーム」です。ここにたどり着くまでの顧客ターゲティングや広告施策、コンテンツマーケティング、サイトの導線計画などももちろん重要なのですが、最後のフォームで離脱されては意味がありません。
そこで本記事では、最後の関門である「フォーム」への入力・送信を促す方法について、建設業ならではの視点を入れて解説します。
EFO(入力フォーム最適化)とは?
EFO(Entry Form Optimization)は、ユーザーがスムーズに申し込みや問い合わせを行えるように、ホームページなどの入力フォームを最適化する施策のことです。入力フォームは、ECサイトやサービスサイトなどで幅広く活用されており、具体例としては会員登録フォーム、商品購入時の購入フォーム、資料請求フォーム、ウェビナーへの申し込みフォーム、メルマガ登録フォーム、お問い合わせフォームなどが挙げられます。
EFOの目的は、CVR(Conversion Rate)の向上です。すなわち、より快適な入力フォームの提供によって、フォームまでたどり着いたユーザーの離脱率を減少させ、実際に商品・サービスの購入や問い合わせ(コンバージョン)につなげることを目指します。建設業界でいえば、顧客からの資料請求や工事の見積もりの申し込み、完成見学会やセミナーへの参加申し込み、協力会社や求職者からの連絡などにつなげるのが目的というわけです。
EFOを実施すべき理由
入力フォームは「とりあえず」設置されることも多く、実際にそれでも機能します。しかし、EFOをしっかりと行ってこそ、入力フォームは真価を発揮するのです。EFOを実施すべき2つの理由を見ていきましょう。
入力フォームが使いにくいと機会損失が生じるから
入力フォームに問題があると、本来であればコンバージョン(CV)が期待されるユーザーがコンバージョンしなくなり、機会損失が発生します。特にユーザーの関心や期待が高まっており、CVに近い段階まで進んでいたにもかかわらず、入力フォームの問題によって断念されてしまうのは非常にもったいない話です。
大きな工事の案件が契約直前まで来ていたのに、書類に不備があったせいで元請けや施主の機嫌を損ね、「この話はなかったことに」と言われてしまう状況を想像してみてください。同じことが入力フォームでも起こりえるのです。このような機会損失を減らすためにも、EFOを積極的に実施する必要があります。
CVRの直接的な改善ができるから
ユーザーがフォームに入力するタイミングというのは、多くの場合「見積もり依頼」や「資料請求」「対応可能な工事の問い合わせ」など、CVの直前です。BtoBかBtoCかを問わず、「成約まであと一歩」というところまで来ています。
つまり、入力フォームは「もう一押しで売上につながるユーザーとのコミュニケーションポイント」であり、より快適なフォームの提供がそのままCVRになります。そのため、フォームの改善が大きな成果につながる可能性が高いのです。
一方、広告運用におけるバナーやタイトルの改善は、ここまで直接的な成果は見込めません。アクセスするユーザー数は増えますが、そこからCVに至るまでには多くのコミュニケーションポイントを通過する必要があります。つまり、アクセス数の増加がそのままCV数の増加にはならないのです。
もちろん、アクセス数自体が少ない時は、広告関連の施策が優先される場合もあります。ただ、原則としては、よりCVに近い部分から施策を強化すべきです。
効果的なEFOのポイント
EFOのポイントは、大きく分けると3つあります。「入力の手間を減らすこと」「入力時の心理的ストレスを小さくすること」、そして「離脱につながる要素を取り除くこと」です。3つのポイントについて詳しく見ていきましょう。
POINT 1:フォーム入力の手間を減らす
最も基本的なポイントは、フォーム入力の手間を減らすことです。フォームの入力に手間がかかると、それだけでユーザーの離脱を招いてしまいます。そこで、以下のポイントを押さえてフォームを作りましょう。
入力項目はできるだけ少なくする
ユーザーのより詳細な情報を得るために、フォームの入力項目数を増やしている方もいるでしょう。しかし、あまりにも項目数が多いとユーザーは面倒に感じ、離脱を招いてしまいます。ユーザーのカスタマージャーニーマップなどを参考に、過不足のない項目数を設定するのがベストです。
たとえば、協力業者の獲得用フォームなら、施工可能な工事種や職工の人数、保有資格など書いてもらうと目安になります。元請けからの案件獲得用なら、どんな工事でいつの現場で、何人ほしいのかなどがわかれば、折り返し電話の優先順も決めやすく、話もスムーズです。
さらに、BtoC用のフォームであれば、住宅ローンセミナーや見学会、資料請求、施工事例の問い合わせなど、目的別にフォームを用意するのが有効です。目的を絞ることで、ユーザーに入力してもらうべき情報も限定され、フォームがすっきりします。
自動入力やサジェスト機能を活用し、使いやすくする
入力フォームには、自動入力機能やサジェスト機能があると便利です。郵便番号を入力すると住所が途中まで入力されたり、銀行の支店名を途中まで入力した際に複数の候補が表示されたりするので、ユーザーの負担が軽減されます。また、入力エラーの予防にもつながります。
エラーは理由を表示する+エラー入力自体を起こさせない工夫を!
入力した内容にミスがあってエラーが出た際、「エラーがあります」と表示されるだけだと、ユーザーはどこを修正すればいいのかがわからず、面倒に感じて離脱してしまう可能性が高くなります。そのため入力エラー時には、「どの項目にエラーがあるのか」「どのように修正すればいいのか」を表示することが大切です。
また、すべて入力して「送信」などのボタンを押してからエラーが表示されると、やはりユーザーは面倒に感じるでしょう。エラーになる内容が入力された時点で、エラーを通知する設定にしておくのがおすすめです。全角・半角の自動変換機能を取り入れるなどして、エラー入力自体が発生しにくいようにしておくというテクニックもあります。
POINT 2:入力時の心理的ストレスを小さくする
入力フォームには、心理的なストレスを小さくするための工夫も必要です。ストレスを感じにくい機能やデザインにすれば、離脱を防げるのに加えて「この会社のフォームは利用しやすい」と好印象を持ってもらえ、リピートが期待できます。そのためにも、以下のポイントを意識してみてください。
フォームのサイズを適正にする
入力フォームのサイズが不適切だと、入力している内容が途中で切れて見えなくなったり、スマートフォンから入力する時に誤タップしてしまったりします。これらはいずれもユーザーのストレスの原因になるため、小さすぎず大きすぎないフォームを設計しましょう。住所など、入力内容が長くなりやすい項目は、フォームを都道府県・市区町村・町名などで分割するのも有効です。
必須項目をわかりやすくする
フォームの項目には、必須項目と必須ではない項目があります。必須項目に記入漏れがあるとエラーが発生しますが、そもそもどの項目が入力必須なのかがわかりづらいと、ユーザーは大きなストレスを覚えるでしょう。そのため必須項目は、「赤字で表示する」「必須と表示する」「*をつける」などして、一目で見てわかるようにしておくのがベストです。
文字のサイズや色は見やすくし、表示幅にはゆとりを持たせる
文字のサイズや色は視認性の高いものを選び、表示幅にもゆとりを持たせるなどして、見やすくしておくことが大切です。特にスマートフォンは画面が小さいため、見やすさがより重要なポイントになります。特にリフォームのコア層でもある高齢者のスマホ比率は年々増えているので、「スマホから見た時にどうなるのか」は必ず意識しておきましょう。
入力例を掲載する
入力フォームに入力例が掲載されていると、何をどのように入力すればいいのかがわかりやすくなり、入力ミスの防止にもつながります。入力フォームの背景に入力例を薄く表示する方法が定番です。さらに、入力中のフォームの背景色が変化するように設定しておくと、今入力している箇所がわかりやすくなります。
ボタンはわかりやすいデザインにする
フォームに内容を入力した後の「送信」ボタンなど、各種ボタンが見つかりにくいのはストレスの原因になり、そのままユーザーが離脱してしまう可能性もあります。ボタンの背景色やサイズは視認性を高くし、ボタンに表示する文字は最小限にしてわかりやすくしましょう。
また、ボタンを目立たせようとして異物感を出すと、不信感を煽りかえって離脱につながるため要注意です。さらに、ボタンを複数設置する必要がある場合は、配置や色を工夫してユーザーが迷わないようにしましょう。
POINT 3:離脱につながる要素を取り除く
フォーム自体やそのページのデザインによっては、ユーザーが入力作業に集中できなくなり、離脱につながってしまう可能性があります。そのため、離脱につながりそうな要素は、できる限り取り除いておかなければなりません。特に以下の2点にご注意ください。
フォームのデザインがメディア全体から逸脱しないようにする
入力フォームが目につきやすいようにすることは大切ですが、何も考えずに目立たせればいいわけではありません。たとえば、ホームページ全体がシックなデザインなのに、入力フォームは原色を多用した派手なデザインだと、明らかに違和感がありマイナスの印象を与えます。全体のトンマナから逸脱しないようにすることが大切です。
別ページへのリンクは設置しない
入力フォーム内に別ページへのリンクがあると、ユーザーが意図せずに踏んでしまう可能性があります。そのまま離脱してしまうおそれがあるのはもちろん、フォームに戻ってきても最初から入力し直しということになれば、ユーザーは大きなストレスを感じるでしょう。そのため、フォーム内に他のページへのリンクは極力設置すべきではありません。
ただし、個人情報を取得するためには「プライバシーポリシー(個人情報の取り扱い)」を掲載し、なおかつユーザーの同意を得る必要があります。プライバシーポリシーは文章量が多く、別ページに掲載してリンクを貼るのが一般的です。このリンクを誤って踏んでページが遷移しないよう、リンクは別タブで開く設定にしておきましょう。
まとめ:EFOを実施し、問い合わせや申し込みにつなげよう
EFOは、入力フォームまでたどり着いたユーザーへの「最後の一押し」です。適切なEFOによってフォームへの入力と送信を促し、CVにつなげてこそ、ここまでに行ってきたあらゆる施策が意味を持ちます。
EFOのポイントの1つ1つは、決して複雑なものではありません。とはいえ、具体的にどのようなフォームを設置すればいいのかわからない、というケースも多いはずです。そのような時は専門業者に相談し、CV率のアップにつなげましょう。
BRANUが制作するホームページは、フォーム項目やラジオボタン/チェック項目などを自在に設定できるのはもちろん、CAREECON集客では5つのフォームを同一サイト内で同時に走らせることも可能です。各種入力フォームの設置でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。