【2022年度版】今年度は最大250万円の補助!長期優良住宅化リフォーム推進事業で施工側がすべき申請のまとめ

     
250万円の補助金でサムネイル集客
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工務店やリフォーム店にとって、集客~成約の追い風となる補助金や減税制度。本記事ではその中から、毎年実施され令和4年度は最大250万円の補助を受けられる「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を中心に、住宅工事で使える補助金についてご紹介します。

施工者側の申請などの手間は掛かってしまうものの、1戸あたりの補助額はかなり高額で、施主にとっては大きな魅力。まだ未導入の建設事業者は、ぜひ参考にしてください!

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【2023年度版】住宅系補助金の総まとめ~新築・リフォーム成約の後押しに!
一般住宅を扱う工務店やリフォーム店にとって、集客~成約の追い風となる、補助金や減税制度。本記事ではその中から、「住宅新築工事」「リフォーム工事」において、使える補助金を総まとめしてご紹介します。申請などの手続きで、施主側にも施工側にも手間が掛かりますが、助成や補助金が使えることは施主にとっては大きな魅力。まだ未導入・未登録の施策があれば、ぜひチェックをしてみてください!

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは?

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、既存住宅の性能向上や子育てしやすい環境等の整備につながる、優良なリフォームを支援するための政府の補助金政策です。2009年に施行された「長期優良住宅普及促進法」を背景として、2013年度補正予算から継続して実施されています。

内容を簡単に説明すると、工事後に一定の耐震性・劣化対策・省エネ性が確保される特定のリフォームを行った場合に、補助金が交付されるというものです。名称に「長期優良住宅化」と入っているために、「長期優良住宅の基準を満たすリフォームをする場合にのみ補助金がもらえる」と捉えられることもありますが、これは誤解です。

実際の対象範囲はもっと広く、一定の基準を満たしていれば、長期優良住宅化リフォームでなくても補助金の対象になります。結果として条件を満たしてさえいればいいので、リフォームの細かな目的も問われません。また、戸建住宅だけでなく共同住宅も補助対象となります。

補助率はリフォーム工事にかかる各種費用の1/3で、限度額は原則として100万円/戸です。また、長期優良住宅(増改築)認定を取得する場合は200万円/戸が限度で、条件によってはさらに50万円が加算されます。

参考:長期優良住宅化リフォーム推進事業【総合トップページ】|国土交通省
https://www.kenken.go.jp/chouki_r/

具体的にどんな工事に対して補助金が出るの?

次は、具体的にどのような工事をすると補助金を受け取れるのかを見ていきましょう。補助対象となるのは、主に住宅の性能を向上させるリフォーム工事です。

たとえば、外壁の断熱工事や高効率給湯器への交換といった省エネリフォーム、耐力壁の増設・屋根の軽量化・軸組の補強などの耐震リフォーム、床下の防湿・防蟻処理やユニットバスへの交換といった劣化対策などは、すべて補助金を受け取れます。給排水管の更新のような、維持管理・更新のための工事も対象です。

また、もっと広い意味での性能向上工事も補助対象となります。手すりの設置や段差の解消といったバリアフリー改修、高齢期に備えた玄関スペースの拡大や未使用の部屋の別用途化、テレワークのための間仕切り壁や建具の設置工事などでも、補助金を受け取ることが可能です。

さらに、三世代同居のためのキッチン・トイレ・浴室・玄関の増設工事や、子育て世帯が行う対面キッチンへの改修・住宅内の事故防止・不審者の侵入防止工事、防災性の向上工事なども補助金の交付対象となります。事前のインスペクション(建物状況調査)で指摘を受けた外壁・屋根・雨樋などの補修工事も、もちろん対象です。

このように、非常に多くの工事が対象となるため、補助金を受け取るハードル自体は低いといえます。お客様から工事の相談があった時は、積極的に補助金の活用を提案し、成約につなげるといいでしょう。ホームページなどでも、補助金を利用できることをアピールするのがおすすめです。

補助金の交付を受けるために施工業者側でやること

長期優良住宅化リフォーム推進事業の申請手続きは、発注者(施主)ではなく施工業者・リフォーム業者側が主に行います。また、申請をするにあたっては、いくつかの準備をしておかなければなりません。補助金交付までに必要な手続きを確認しておきましょう。

申請手続きについて

参考:令和4年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業 交付申請等手続きのご案内
http://www.choki-r-shien.com/r4/koufusinsei/index.html

事業者登録

工事を行う事業者は、工事の請負契約をする前に「事業者登録」を行う必要があります。登録手続きはインターネット上で行えます。なお事業者登録を行う前に契約した工事は補助金の対象外ですので注意が必要です。

インスペクション(建物現況調査)

リフォーム工事の前には、必ずインスペクションを行います。インスペクションとはリフォームに先立って、床・壁の傾きや雨漏り、白アリの被害など、日常生活に支障があると考えられる劣化事象の有無を把握するために行う調査です。

インスペクションを実施するのは、建築士である「既存住宅状況調査技術者」でなければなりません。また、インスペクションで劣化事象が見つかった場合は、予定しているリフォーム工事と同時に補修するか、維持保全計画(後述)に点検・補修の方法や対応時期を明記する必要があります。

もし社内に既存住宅状況技術者の資格所有者がいない場合でも、外注先として対応してくれる業者は多数あります。申請までに資格取得が間に合わない、あるいは今後手掛ける工事の内容を考えるとそこまで必要ないという場合は、こうした外部を活用するのも手です。

インスペクション(建物現況調査)

維持保全計画の作成

リフォームした住宅をできるだけ長持ちさせるために、点検・補修の時期や内容をまとめた「維持保全計画」を作成します。維持保全の期間は30年以上、点検のスパンは少なくとも10年ごとです。インスペクションで見つかった問題点への対応もここに盛り込みます。

請負契約と共同事業実施規約の締結

補助の条件を満たしていることを確認した上で工事の内容を確定し、発注者との工事請負契約を締結します。あわせて、補助金の交付を受けるためにお互いに確認すべき事項を定めた「共同事業実施規約」も締結します。

なお、発注者との工事請負契約に基づかない工事は、補助金の対象にはなりません。つまり、施工業者が自宅のリフォーム工事を行うような場合は、補助金を申請できないのです。

住宅登録

本事業のポータルサイトに、補助の対象となる住宅の情報を登録します。住宅登録を行う前に着工した工事は、補助金の対象外となるのでご注意ください。

交付申請

交付申請書類を作成し、建築士による適合確認を完了した上で、実施支援室宛に提出します。提出の方法は郵送のみです。提出した書類をもとに審査を受け、要件を満たしていることが確認されれば交付決定となり、決定通知が送られてきます。書類に不備があると、審査を通過できなかったり再提出を求められたりするので、細かくチェックしましょう。

交付申請書類の郵送

工事実施、リフォーム履歴の作成

交付申請した内容通りに工事を行い、工事の写真や工事内容を示す図面といった「リフォーム履歴」を作成します。工事の写真は、工事前・工事中・工事後の3種類が必要です。不備があった場合は、交付金が減額もしくは交付されない可能性があります。

完了実績報告書の提出

工事が完了したら、建築士による適合確認を経て、実施支援室宛に「完了実績報告書」を提出します。提出期限は工事の完了から1ヶ月以内です。再び審査を受け、申請内容通りに工事が完了したことが確認されれば、補助金の交付額確定通知が届きます。

補助金の振込、還元

確定した金額の補助金がリフォーム事業者の口座に振り込まれたら、発注者に還元します。還元方法は現金の支払いか、債務(リフォーム工事の代金)との相殺のどちらかを選択可能です。還元が済んだら、補助金の交付手続きは完了となります。

なお、長期優良住宅(増改築)認定を取得する場合は、「施工業者による技術的審査申請」と「着工前の認定申請」といった手続きも必要です。不明点があれば、早めに実施支援室に問い合わせてみましょう。

補助金の振込、還元

ほかにもリフォーム工事で使える補助金はあります!

リフォーム工事の際に活用できる補助金制度は、長期優良住宅化リフォーム推進事業以外にもいろいろあります。国の制度はもちろん、自治体が独自に実施している補助金事業もあるので、地元の制度を一度調べてみるのがおすすめです。参考までに、補助金事業をいくつかご紹介します。

こどもみらい住宅支援事業

国が実施しているリフォーム補助金制度です。断熱改修やエコ住宅設備の設置、及びそれらに合わせた子育て対応改修や耐震改修を行う場合に補助金を受け取れます。どのような世帯でも利用できますが、名前の通り子育て・若者夫婦世帯の支援を重視しており、これらの世帯は他の世帯より補助額の上限が高くなっています(最大60万円/戸)。

また当初の交付申請期限は2022年10月31日でしたが、昨今の原油価格・物価高騰による住宅価格上昇を受けて、補正予算や予備費を投下。2023年3月31日までの延長が発表されています(2022年4月28日発表)。今後の景気動向によってはさらなる延長の可能性もありますので、定期的にサイトを確認するようにしましょう。

参考:こどもみらい住宅支援事業|国土交通省
https://kodomo-mirai.mlit.go.jp/

各自治体が独自に制度化している補助事業

市区町村など、地方自治体で独自に制度化している補助金も多数あります。耐震リフォームやバリアフリーリフォームといった鉄板といえる補助金以外にも、LED化や蓄電設備の導入、屋上緑化などの工事でも補助が出る自治体もあります。政府の補助金と併用できて、施主に大きなメリット(=成約の大きな後押し)になるものもありますので、狙っている施工エリアの自治体情報は、まめにチェックしておきましょう。

以下に自治体の補助制度の一部をピックアップしてみましたので、ご参考にされてみてください(2022年5月調べ)。

参考:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
https://www.j-reform.com/reform-support/

世田谷区木造住宅無料耐震診断事業

東京都世田谷区が実施している制度です。いわゆる旧耐震基準で作られた木造住宅の耐震リフォームを行う場合に、助成金を受け取ることができます。家の耐震性能をチェックする「耐震診断」や訪問相談は無料で受けられます。

・木造住宅の耐震化を支援します|世田谷区

さいたま市「スマートホーム推進・創って減らす」機器設置補助金

埼玉県さいたま市が実施している制度です。太陽光発電設備やエネファーム、家庭用蓄電池、高遮熱塗装など、「創エネ・省エネ機器」を設置する場合に補助金を受け取れます。

・「スマートホーム推進・創って減らす」機器設置補助金|さいたま市

横浜市高齢者等住環境整備事業

神奈川県横浜市が実施している制度です。支援または介護を必要とする高齢者等が自宅で生活を続けられるよう、専門スタッフが支援対象者や住宅の状況に合わせた住宅改造のアドバイスを行います。アドバイスに基づいたバリアフリーリフォーム等を行う場合は、最大100万円の助成金を受け取ることができます。

・横浜市高齢者等住環境整備事業|横浜市

バリアフリーリフォーム

まとめ

補助金の申請手続きは、少し複雑に感じられるかもしれません。しかし、補助金の提案をせずに工事を行うと、後になって「実はあの補助金が使えたのでは?」と施主様が不満を抱く可能性があります。これは自社の評判を下げる原因となり、長期的に見ると大きなデメリットになるでしょう。

逆に、補助金を活用したリフォームプランを提案すれば、施主様に喜んでいただくことができ、成約率のアップも期待できます。また現在使える補助金について知らない施主も多いので、これらの情報を自社ホームページやチラシ、SNSなどで訴求できれば、集客の大きな後押しにもなります。

補助金制度の活用は顧客のためだけでなく、自社の利益にもなるのだと考えることが大切です。施工前に一度、補助金関連の情報を調べてみることをおすすめします。そして自社ホームページをはじめとした各種情報発信媒体でのアピールも、忘れずに行っておきましょう!

     
この記事を書いたライター
政所健司

建築専門出版社にて住宅誌の編集長を歴任。国交省・住宅金融支援機構・NEDO等の広報誌制作業務に参画後、LIXILリフォームショップFC店の企業広報を経て現在BRANU株式会社にてマーケティングを担当。「現場で一番汗を流している人たちこそ主役に」という考えのもと、中小零細企業へのIT支援・DX支援・事業支援を通じて建設業界の古い産業構造の改革を目指す3児の父。

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