【2023年度版】住宅系補助金の総まとめ~新築・リフォーム成約の後押しに!

     
【2023年度版】成約の後押しに!~新築・リフォームで使える補助金の総まとめ集客
集客

一般住宅を扱う工務店やリフォーム店にとって、集客~成約の追い風となる、補助金や減税制度。本記事ではその中から、「住宅新築工事」「リフォーム工事」において、使える補助金を総まとめしてご紹介します。

申請などの手続きで、施主側にも施工側にも手間は掛かりますが、助成や補助金が使えることは施主にとっては大きな魅力。工事契約になかなか踏み切れていない顧客の背中を押す、強力なエンジンになります。それぞれ管轄先のホームページや関連ページのリンクを貼っていますので、まだ未導入・未登録の施策があれば、ぜひチェックをしてみてください!

※各施策とも、期間を延長・再開するケースも多々あるため、執筆時点で終了間近の施策でも掲載しております。

新築注文住宅の購入/リフォーム工事でもらえる補助金・助成金

新築住宅やリフォーム工事を検討中の顧客に対し、まず提案しておきたいのが補助金・助成金の活用です。新築・リフォームを問わず、住宅の工事に使える補助金・助成金制度は多数用意されています。これらを活用すれば施工費用を抑えることができ、成約につながりやすくなるのです。主な補助金・助成金としては以下のものが挙げられます。

住宅省エネ2023キャンペーン

住宅省エネ2023キャンペーンは、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、家庭における省エネを推進するための補助事業の総称です。以下の3つの事業で構成されています。

1. こどもエコ住まい支援事業

こどもエコ住まい支援事業は、国土交通省が管轄する補助金事業です。前年までの「こどもみらい住宅支援事業」の後継としてスタートしました。名前の通り、18歳未満の子供がいる「子育て世帯」と、申請時にどちらかが39歳以下の「若者夫婦世帯」を支援対象としています。

この制度では、ZEH(ゼッチ)レベルの高い省エネ性能を持つ住宅を新築するか、同等レベルの省エネ化リフォームを行った場合に補助金が交付されます。補助金額は新築住宅が最大100万円、リフォームが最大60万円です。また、リフォームの補助金については、子育て世帯および若者夫婦世帯以外でも申請することができます。申請の基本的な流れは以下の通りです。

① 施主が登録事業者の中から施工会社を選ぶ
② 工事請負契約を締結する
③ 着工する
④ 事業者が交付申請を行う
⑤ 交付の審査→通過すれば入金
⑥ 住宅の完成および引き渡し
⑦ 完了報告を行う(戸建て住宅の場合は2024年7月31日まで)

なお、2023年度はすでに予算の上限に達しており、先行終了しています。補正予算で再開されるか、2024年度も実施されることを期待しましょう。

2. 先進的窓リノベ事業

先進的窓リノベ事業は、経済産業省と環境省が管轄する事業です。熱の大部分が出入りする窓の断熱性能を高めることにより、冷暖房費の負担軽減やCO2排出量の削減、ZEH基準の省エネルギー性能を確保することなどを目的にしています。

補助対象は、内窓の設置やガラスの交換といった窓の断熱改修(リフォーム)で、改修に関する費用の1/2相当等を定額補助します。補助金額の上限は一戸当たり5万円~200万円です。

契約日の期間は2022年11月8日~2023年12月31日で、着工日は窓リノベ事業者における登録申請日以降である必要があります。交付申請期間は2023年3月31日~2023年12月31日(もしくは予算上限に達するまで)です。申請時に用意する書類としては、工事請負契約書の写しや工事発注者の本人確認書類、工事を実施する住宅に係る書類、工事前後の写真などがあります。

3. 給湯省エネ事業

給湯省エネ事業は、経済産業省が管轄する補助金事業です。家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯分野について、高効率給湯器の普及を拡大し、「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」の達成に寄与することを目的としています。

補助対象は新築・リフォームや戸建・共同住宅を問わず、高効率給湯器を設置する場合に利用できます。補助額は、家庭用燃料電池(エネファーム)の設置なら15万円/台、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)やヒートポンプ給湯機(エコキュート)の場合は5万円/台です。台数は戸建住宅がいずれか2台まで、共同住宅等はいずれか1台までとなっています。

契約日の期間は2022年11月8日~2023年12月31日で、着工日は給湯省エネ事業者(住宅省エネ支援事業者)の登録申請日以降である必要があります。着工日については、新築注文住宅は建築着工日、新築分譲住宅は住宅の引渡日である点にご注意ください。交付申請期間は2023年3月31日~2023年12月31日(もしくは予算上限に達するまで)です。

なお、上記の3事業は窓口が一本化されているため、まとめて申請することができます。可能なら3つをそろえて顧客に提案するといいでしょう。

住宅省エネ2023キャンペーン【公式】
「住宅省エネ2023キャンペーン」の公式サイトです。

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)実証事業

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業は、経済産業省および環境省が管轄する、省エネ住宅の普及や環境負荷の低減を目的とした補助金事業です。ZEH(ゼッチ)とは、省エネ設備や高断熱材料、太陽光発電システムなどを組み合わせることで、エネルギー収支がゼロになる住宅を指します。

この制度では、ZEHに該当する新築住宅を建てると補助金を受け取れます。「ZEH支援事業」「次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業」「次世代HEMS実証事業」の3事業に分かれており、それぞれ対象となる住宅や補助の内容が細かく異なるので、事前に確認しておきましょう。

補助金額は、ZEHとして認定された物件であれば55万円/戸、より高性能な「ZEH+」などに認定された物件であれば100万円/戸です。次世代HEMS実証事業では、求められる性能がよりアップする分、112万円/戸を受け取ることができます。また、蓄電システム(定置型)や太陽熱利用温水システムといった設備を導入すると、さらに補助金が加算されます。

公募期間は2023年4月28日~11月10日、完了報告期限は2024年2月2日です。ZEH支援事業だけは2次公募期間が設けられており、こちらの公募期間は2023年11月20日~2024年1月9日、完了報告期限は2024年2月9日となっています。なお、申請は電子申請に限られており、「ZEHポータル」を利用して情報の入力や資料のアップロードを行う必要があります。

ZEH補助金
ZEHとは、建物の断熱性を高めて省エネを実現するとともに、再生可能エネルギー(創エネ)によってエネルギー収支ゼロを目指した住宅です。

LCCM住宅整備推進事業

LCCM住宅整備推進事業は、経済産業省・国土交通省・環境省が連携して取り組んでいる事業です。2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅の脱炭素化を推進するため、先導的な脱炭素化住宅である「LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅」の整備に対して補助を行っています。

LCCM住宅とは、建設~廃棄までのCO2排出量を削減し、太陽光発電なども導入することで、ライフサイクルを通じてのCO2収支をマイナスにする住宅のことです。主にZEH住宅の条件に加え、断熱性能の強化や高効率設備の設置により、一定以上の機能を満たす住宅が該当します。

補助金額は、設計費および建設工事等における補助対象工事の掛かり増し費用の1/2で、上限は140万円/戸です。第1回の交付申請受付はすでに終了しており、第2回が10月中旬~2024年1月中旬に行われる予定です。申請はすべて電子申請で行い、建築士による基本要件への適合確認書や、補助対象事業費の内訳などを提出する必要があります。

LCCM住宅整備推進事業実施支援室

地域型住宅グリーン化事業

地域型住宅グリーン化事業は、国土交通省が管轄する補助金制度です。高い省エネ性や耐久性を持つ木造住宅を建設した場合に補助金を受け取ることができます。施工するのは、その地域の中小工務店や建材流通会社などで構成され、国土交通省に採択されたグループの事業者である必要があります。

対象となる住宅は、認定長期優良住宅やZEHなどです。補助金額の上限は住宅の種類によって異なり、ZEHであれば最大140万円を受け取ることができます。申請期限は、Ⅰ期が採択日~2023年11月20日で、12月上旬以降にⅡ期が開始される予定です。申請方法は電子申請のみで、「申請報告ツール」による情報入力や資料アップロードを行う必要があります。

地域型住宅グリーン化事業【長寿命型等実施支援室】(交付)
本事業は、地域工務店等とこれらを取り巻く関連事業者(地域材等資材供給から設計・施工まで)が緊密な連携体制を構築し、地域資源を活用して地域の気候・風土にあった良質で特徴的な「地域型住宅」の供給に取り組むことを支援し、地域における木造住宅生産・維持管理体制の強化を図り、地域経済の活性化及び持続的発展、地域の住文化の継承及び...

既存住宅における断熱リフォーム支援事業

既存住宅における断熱リフォーム支援事業は、より快適で健康な暮らしや省エネ・省CO2化を目的とし、環境省が管轄する補助金制度です。高性能建材を使い、一定の要件を満たす断熱リフォームを行なった場合に補助金を受け取ることができます。

改修の工法は、家全体や広範囲の断熱を行う「トータル断熱」と、居間の窓だけを改修する「居間だけ断熱」の2つがあります(併用は不可)。補助金額は補助対象となる工事費用の1/3で、戸建住宅は120万円/戸、集合住宅は15万円/戸が上限です。新たに中古住宅を購入し、断熱リフォームをしてから居住する場合も対象になります。

公募は複数回に分かれており、最新のものは2023年9月4日~12月8日の予定です。公募期間内に申請を行い、交付決定通知書発行に契約・着工し、工事完了・支払い後30日以内か2024年1月15日の早い方までに完了報告を行う必要があります。指定された条件で工事ができる業者なら、特に事前の認定などを受けることなく申請可能です。

お知らせ|既存住宅の断熱リフォーム支援事業
このページは、公益財団法人北海道環境財団が執行団体を務める環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(断熱リフォーム支援事業)」を紹介しています。本事業に関する業務は公益財団法人北海道環境財団補助事業部が担当しています。

次世代省エネ建材の実証支援事業

次世代省エネ建材の実証支援事業は、経済産業省が管轄する補助金事業です。既存住宅において、省エネ改修の促進が期待される工期短縮可能な高性能断熱材や、快適性向上が可能な蓄熱・調湿材等の次世代省エネ建材の効果の実証支援を目的としています。

具体的には、外張り断熱・内張り断熱・窓断熱のいずれかの断熱リフォームを行うと、補助金を受け取ることができます。古い断熱材を交換する省エネ改修は対象になりません。補助金額は補助対象費用の1/2で、外張り断熱は300万円/戸(寒さが厳しい一部の地域は400万円/戸)、内張り断熱は200万円/戸(集合住宅は125万円/戸)、窓断熱は150万円/戸が上限です。

工事に使用する材料は、原則として本事業に登録された製品である必要があります。施工業者は特に限定されておらず、本事業のルールに従って工事ができる業者なら申請可能です。

手続きは公募期間内に交付申請を行い、交付決定通知書発行後に契約・発注・着工します。さらに完了実績報告書提出後、所定の方法で効果測定を行い、問題がなければ補助金が交付されます。公募期間は一次と二次に分かれており、一次は終了済みで、二次公募期間は2023年9月4日~11月30日です。

SII:一般社団法人 環境共創イニシアチブ|事業トップ(令和5年度 次世代省エネ建材の実証支援事業)
SII 一般社団法人環境共創イニシアチブの「令和5年度 次世代省エネ建材の実証支援事業 事業トップ」についてのページです。

住宅エコリフォーム推進事業

住宅エコリフォーム推進事業は、国土交通省が管轄する補助金制度です。カーボンニュートラルの実現に向けた、住宅ストックの省エネ化推進を目的としており、住宅をZEHレベルの省エネ住宅へリフォーム、もしくは建て替える場合に補助金を受け取れます。

補助率は、省エネ診断費用の1/3(民間実施の場合。公共実施なら1/2)と、省エネ設計・改修工事費用の40%です。補助上限額は、戸建住宅・共同住宅ともに35万円/戸となっています。

なお、2023年7月3日時点で予算上限に達したため、受付は終了しています。ただし、この事業は「グループ提案」も受け付けており、2023年6月6日までに応募して採択されたグループの構成メンバーであれば、10月末まで申請可能です。完了実績報告の受付期間は、2024年2月29日までです。

住宅エコリフォーム推進事業実施支援室

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、国土交通省が管轄する補助金制度です。良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備を目的とし、既存住宅の省エネ化・長寿命化リフォームなどを行った場合に補助金が交付されます。

大きく分けると「通年申請タイプ」と「事前申請タイプ」があり、事前申請タイプの公募受付は5月で終了しています。通年申請タイプの内容を簡単にまとめると、リフォーム後に長期優良住宅の基準(耐久・耐震・省エネ性能)を満たせば補助金が受け取れるというものです。

また、専門家による建物状況調査(インスペクション)を受け、指摘された箇所は追加で改修工事を行う必要があります。リフォーム履歴や維持保全計画の作成も必要です。

さらに、補助事業タイプは「評価基準型」と「認定長期優良住宅型」に分かれています。一定の耐久・耐震・省エネ性能を確保しなければならないのはどちらも同じですが、認定長期優良住宅型の方が、より優れた性能を求められます。

補助率は対象費用の1/3で、評価基準型は100万円/戸、認定長期優良住宅型は200万円/戸です。ただし、三世代同居対応改修工事を実施したり、若者または子育て世帯が改修工事を実施したりした場合は、さらに50万円上乗せされます。

なお、評価基準型はすでに交付申請が締め切られており、再開は未定です。認定長期優良住宅型は、2023年12月22日まで交付申請を受け付けています。完了報告の受付期間は2024年2月16日までです。

https://www.kenken.go.jp/chouki_r/
長期優良住宅化リフォーム推進事業では、既存住宅や住宅ストックに対し、適切なメンテナンスによる長寿命化等に資する優良な取り組みへの支援を行います。

自治体独自の補助金制度

ここまでご紹介してきた補助金制度はすべて国の事業ですが、地方自治体が独自に補助金制度を実施している場合もあります。たとえば、東京都では「東京ゼロエミ住宅導入促進事業」を実施しています。

これは新築住宅を対象とし、経費の一部を助成することにより、家庭におけるエネルギー消費量の低減を推進する制度です。補助金額は3段階の水準に別れており、戸建て住宅で30万~210万円/戸、集合住宅で20万~170万円/戸を上限に補助金を受け取ることができます。太陽光発電システムを設置すれば、1KWごとに12万~13万円(上限36万~39万円)の追加補助金を受け取ることも可能です。

なお、自治体独自の補助金制度を利用する時は、国の制度と併用可能かどうかをチェックしておく必要があります。自治体独自の制度でも、国の財源が充当されている場合は、「国費の二重取り」を防ぐために国の制度との併用ができません。一方、財源が完全に別になっている場合は、国の制度との併用が可能です。

これ以外にも、多くの自治体が独自の補助金制度を実施しています。まずは地元の制度を確認し、必要に応じて顧客に提案するといいでしょう。

クール・ネット東京 :東京都地球温暖化防止活動推進センター | 「東京ゼロエミ住宅助成金事業等」
「東京ゼロエミ住宅助成金事業等」 | 東京都地球温暖化防止活動推進センターは、東京都における地球温暖化防止活動の拠点として、東京都や区市町村と連携して普及活動に取り組むとともに、都民や中小事業者の皆様の地球温暖化防止の取組や省エネ対策をしてまいります。

新築購入/リフォーム工事で適用される税金の優遇(軽減)措置

新築住宅の購入やリフォーム工事においては、税金の優遇(軽減)措置を受けることもできます。納税額の軽減は、時として補助金以上の費用節約につながるため、やはり集客に活用することが可能です。主な優遇措置を見ていきましょう。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)

いわゆる住宅ローン減税は、住宅ローンを組んで新築住宅を建てた場合に、購入後の各年末のローン残高の0.7%が所得税から控除されるという制度です。控除金額の上限は1年あたり35万円(最長13年)で、長期優良住宅やZEH水準の省エネ住宅など、高性能な住宅であるほど高くなります。ただし、2024年・2025年度は控除上限額が減額される予定です。

また、住宅ローン控除を受けるためには、住宅の床面積が50平方メートル以上(緩和措置あり)であることや、住宅ローンの返済期間が10年以上であることなど、6つの条件を満たす必要があります。控除額を決める借入額にも上限があり、長期優良住宅・低炭素住宅であれば5,000万円が上限です(2023年までに入居する場合)。

住宅ローン控除を受けたい場合は、入居翌年の2月中旬~3月中旬に、管轄の税務署へ確定申告をする必要があります。ただし、給与取得者の場合は1年目だけ確定申告を行えばよく、2年目以降は年末調整の手続きによって適用されます。

住宅:住宅ローン減税 - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置

直系の親族から贈与を受けた場合、基礎控除額である110万円を超えた分には贈与税が課せられます。しかし、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」を利用すれば、贈与税を軽減することができます。

非課税になる金額は、省エネ住宅など「室の高い住宅」で1,000万円、それ以外の住宅で500万円です。基礎控除額と合算すれば、最大1,110万円が非課税となり、贈与税を節約できます。

対象となるのは、2022年1月1日~2023年12月31日に、直径尊属(父母や祖父母)から住宅用の家屋の新築・取得・増改築等のために贈与を受けた場合です。また、贈与を受けた年の受贈者の所得金額が2,000万円以下であることなど、いくつかの条件があります。手続き期限は贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日で、受贈者の住所地の税務署に申告書を提出する必要があります。

住宅:住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置 - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

登録免許税の特例措置

土地・建物の権利関係や住宅ローンの抵当権を明確にするために登記手続きを行う時は、登録免許税を納付する必要があります。この登録免許税は、一定の条件を満たすと軽減措置を受けることができます。消費者の負担を軽減し、より多くの選択肢から良質な既存住宅を、より低価格で購入できるようにすることを目的にしています。

具体的には、新築住宅の保存登記が0.4%→0.15%、抵当権の設定登記が0.4%→0.1%、土地の売買による所有権の移転が2.0%→1.5%に税率が軽減されます。条件は、「住宅の床面積が50㎡以上」「自宅として居住する住宅である」「取得後1年以内の登記である」ことの3つです。

登記手続きの際、上記3つの条件を満たすことを示す証明書を提出すると、軽減措置を受けられます。その他の特別な手続きや申請は必要ありません。適用される期間は2024年3月31日までです。

令和6年4月1日以降の登録免許税に関するお知らせ:法務局

不動産取得税の軽減

新築住宅や土地を購入すると、不動産取得税を納付する必要があります。この不動産取得税にも、消費者の負担軽減などを目的とする軽減措置が設けられており、活用すれば納税額を抑えることが可能です。

まず、通常は不動産価格×税率4%の税金を納付するところを、新築住宅の場合は3%に軽減されます。また、新築住宅の評価額が1,200万円(長期優良住宅の場合は1,300万円)軽減されるのに加え、土地の評価額は1/2に軽減され、条件次第でさらに減額されます。

いずれも、適用されるのは2024年3月31日までです。手続きの期限は自治体により異なりますが、通常は購入から20日~60日以内で、都道府県の税事務所に必要書類を提出すると軽減措置を受けられます。以下リンクは東京都の例になります。

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shomei/13_keigen.pdf?ver=20230720

固定資産税の軽減

土地や建物にかかる固定資産税も、新築住宅の場合は軽減されます。住宅は税額が1/2になり、住宅用地は評価額を1/6(200平米を超える部分は1/3)に軽減して税額を計算できます。住宅部分の軽減措置が受けられるのは3年間、長期優良住宅の場合は5年間です。

手続きの方法は不動産取得税と同じで、購入から20日~60日以内に、都道府県の税事務所へ指定の書類を提出する必要があります。適用期限も同じく2024年3月31日までです。こちらも、東京都の例としてリンクを貼っておきます。

軽減制度 | 東京都主税局

その他2023年度に使えるお得な制度

補助金・助成金制度や税金の優遇制度以外にも、住宅の購入やリフォーム工事の費用を抑えられる制度はいろいろあります。以下の制度の活用も積極的に提案し、成約につなげましょう。

フラット35の金利優遇制度

住宅ローンの一種である【フラット35】には、一定の条件を満たす住宅を購入した場合に、借入金利が一定期間引き下げられる優遇制度が設けられています。たとえば「【フラット35】S」は、長期優良住宅など省エネ性や耐震性に優れた質の高い住宅を取得する場合に、【フラット35】の借入金利を一定期間引き下げる制度です。

金利引下げメニューは住宅の性能によって異なり、ZEH住宅だと当初5年間は年0.5%、6年目から10年目までは年0.25%の金利が引き下げられます。また、中古住宅を購入して一定水準を満たすリフォームを行った場合に適用される「【フラット35】リノベ」もあり、10年間にわたって年0.25%、もしくは年0.5%の金利引き下げ措置を受けることが可能です。

いずれも特に申請期限は設けられていませんが、予算金額に達する見込みとなった場合は受付終了となります。住宅を購入する顧客の多くは住宅ローンを組むことになるため、積極的に提案するといいでしょう。

【フラット35】S:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】

火災保険料の軽減

耐火性能の高い住宅を建てると、火災保険料の軽減措置を受けることができます。具体的な軽減額は保険会社やプランによって異なりますが、木造住宅を省令準耐火構造で作った場合、ある保険会社では火災保険料を60万円程度も節約することが可能です(35年間長期一括払の場合)。

一般の在来木造住宅を省令準耐火建築物にするためには、防火被覆やファイヤーストップなどを施工する必要があります。自社が対応可能かどうかを確認した上で提案しましょう。リンクは東京海上日動の例になります。

保険料と割引制度 | 地震保険 | 東京海上日動火災保険
東京海上日動の公式サイトです。「地震保険」についてご紹介します。

まとめ

補助金・助成金制度や税金の優遇制度を活用すると、時には100万円以上の費用を節約することができます。「今ならお得に家を建てられます!」という情報を打ち出せば、集客や工事成約につながるでしょう。毎年何かしらの補助金制度は出ていますが、今年の制度が来年も実施されるとは限りませんので、早めの工事開始を促してみてください。

     
この記事を書いたライター
政所健司

建築専門出版社にて住宅誌の編集長を歴任。国交省・住宅金融支援機構・NEDO等の広報誌制作業務に参画後、LIXILリフォームショップFC店の企業広報を経て現在BRANU株式会社にてマーケティングを担当。「現場で一番汗を流している人たちこそ主役に」という考えのもと、中小零細企業へのIT支援・DX支援・事業支援を通じて建設業界の古い産業構造の改革を目指す3児の父。

政所健司をフォローする
お役立ち記事
タイトルとURLをコピーしました