「マーケティングオートメーション」は、建設業の営業活動で何を自動化してくれるのか?

     
マーケティングオートメーションとはサムネイル集客
集客

マーケティングオートメーション(MA)とは?

今、マーケティングの世界で「マーケティングオートメーション(MA)」という言葉が注目を集めています。

簡単に説明すると、主にメール、ホームページ、SNS等のデジタルチャネルで獲得した見込み客(リード)の情報を一元管理し、人手では膨大なコストと時間がかかってしまう大量で複雑な作業や処理を自動化することで作業効率を高める仕組み(ソフト・ツール)のことを指します。

特に少数精鋭の建設事業者さんにとっては、「現場が忙しく集客に手を付けられない」という方がほとんどかと思います。だからこそ、営業活動を自動でやってくれるマーケティングオートメーションの導入は、検討する価値があります。

マーケティングオートメーションが必要とされている背景

まず従来の顧客開拓の方法が、現代のサービスや商品の情報収集の方法にアンマッチになってきているという背景があります。

わざわざ営業に来てもらい、対面で情報を獲得していくよりも、インターネットで情報を獲得した方が効率的でかつ、わかりやすいと感じる人が多くなっています。また昨今のコロナ禍もあり、営業接触を嫌う生活様式も根付いています。つまり、対面での対面での商談やコンタクトを取る段階では、お客様はさまざまな情報をすでに持っていて、ある程度の判断や検討をしている状態になります。

そのような時代背景にともなって、建設業においてもマーケティングオートメーションの必要性が高まってきました。より深く理解するために、まずマーケティングプロセスに関しての理解を深めていきましょう。まずは以下の図をご覧ください。

新規顧客の獲得は、ひと昔前のように、飛び込みやテレアポのみを行ない、対面での商談をして自社のお客様や見込み客を増やしていく方法から変わりつつあります。

現在では、さまざまなマーケティングチャネルを使い、いかにリードを獲得(ジェネレーション)、育成(ナーチャリング)を行ない、選定(クオリフィケーション)して、商談獲得から成約に繋げていくかというプロセスが非常に重要となってきました。

リードの種類

リードの種類はその心理状態によって段階分けすることができ、そのことを「ファネル(漏斗)」とも呼んでいます。

リードのファネル

  1. 認知…サービス・商品を知っているレベル
  2. 親しみ…サービス・商品に親しみを感じているレベル
  3. 検討…サービス・商品の購入を検討しているレベル
  4. 購入…サービス・商品を購入したレベル
  5. ファン…サービス・商品のファンになっているレベル

リードジェネレーション(見込み客の獲得)

リードジェネレーションとは自社のサービスや商品に興味がある見込み客を集めるための方法や活動のことです。例えばホームページ、広告、展示会、SNS、FAXなど。

獲得したリード(見込み客)のなかにも、「認知レベル、親しみレベル、検討レベル、購入レベル、ファンレベル」とさまざまなリードが存在します。

リードナーチャリング(見込み客の育成)

リードナーチャリングとは獲得した見込み客を、「いますぐ客」「すぐに工事をお願いしたい」といったのような購入意欲が高い見込み客へ育成していく一連のプロセスのことです。メルマガ配信、SNS、ブログ、などを通じて見込み客への接触回数を増加させたり、見込み客の潜在意欲を高めるような情報を提供したりといった施策で、少しずつ購入意欲を育てていきます。

リードクオリフィケーション(見込み客の選定)

リードの育成によってある一定の購買意欲まで高まった見込み客のなかから、より可能性の高い見込み客を選定していくことをリードクオリフィケーションと呼びます。

情報を提供するだけではなく、メルマガの開封率やアクセス解析の閲覧状況などで、「どれくらい読まれているのか」「どれくらい興味があるのか」「どこの特性に興味を持っているのか」等のデータを確認し、購買意欲の高い見込み客を選定し、成約に繋げていきましょう。

リフォーム会社・工務店の成約率を上げる!営業を科学した収益モデル「THE MODEL」とは?
テクノロジーの進化に伴い、多くの企業で「営業を科学する」取組みや検証が行われています。本記事では福田康隆氏が提唱する「THE MODEL」(ザ・モデル)を参考に、売上向上を目指す科学的な営業の要点をまとめてみました。

MAを活用したマーケティングプロセスの流れ

マーケティングにおける「見込み客」の獲得・育成・選定を効率化しつつ、営業に「効果的な商談機会」を効率的かつ最大化するためのシステムです。マーケティングプロセスを理解したうえでマーケティングオートメーションの機能を具体的に見ていきましょう!

マーケティングオートメーションは開発会社や商品によってさまざまな機能がありますが一般的に備わっている機能を紹介します。

①リード管理

リードジェネレーション、マーケティングチャネルや営業活動などによって獲得したリードの情報を一元管理する機能です。企業名、氏名、電話番号などはもちろん、「過去1ヶ月でホームページに5回以上訪れたお客様」「展示会に5回以上訪れたお客様」など、以前得たアンケート結果などでも管理することが可能です。

②キャンペーンマネジメント

工事成約までのリードの購買行動を想定し、各過程で実施するマーケティング戦略のプラン全体を「マーケティングシナリオ」と呼びます。このマーケティングシナリオのなかの、一連の施策を「キャンペーン」と呼びます。

マーケティングオートメーションには、このキャンペーンを企画・運用・実施する機能があり、最適な施策を、最適な時期で自動的に行うなことができるようになっています。「いつ、どのような施策を行なうか」というプランの設計を支援する機能です。

③スコアリング

解析によって、「メールを開封したら〇点」「お問い合わせフォームまで到達したら〇点」「料金に関するページを△回以上閲覧をしていたら〇点」など、特定の行動履歴によるスコアリング(点数化)することで、リードの受注確度を可視化する機能です。

基準点以上のリードを通知することもできるので、より確度の高い見込み客から優先的に営業することが可能です。

④メールマーケティング

メール(テキスト・HTML・※マルチパート)の作成及び配信を行なうことができる機能です。簡単に作成できるように、さまざまなテンプレートが最初から入っているマーケティングオートメーションツールが多いです。

メール内容に関しても、リード管理の情報を活用し、見込み客の興味内容に合わせた内容が配信することも可能です。

こちらがセググメントした見込み客に対して一斉送信する機能や、セグメントした見込み客が事前に設定した条件の行動を取った場合のみメールを送信する機能もあります。

※マルチパートとは、HTMLメールが受信できる方にはHTMLメールを、受信できない方にはテキストメールを表示するメール形式

⑤ランディングページ作成

メールを送信した際のリンク先として、オウンドメディアなどにランディングページを作成及び設置する機能があります。またこの機能を利用することで、さらなる顧客情報を入力していただくためのフォームも気軽に作成、設置が可能になります。

LP(ランディングページ)制作の相場と会社選びのポイントをご紹介
WEB施策に取り組んでいると避けて通れないのが「LP」(ランディングページ)です。この記事では、LPについての基礎知識、 概要からメリット・デメリットのほか、 導入・運用時の注意点などもまとめてみました。

⑥アクセス解析

ホームページやオウンドメディアなどのWEBサイトに訪れたユーザーの行動履歴を分析するアクセス解析。アクセス数、直帰率(アクセスしたページだけ見て自社サイトから離れてしまう割合)、ランディングページ(最初にアクセスしたページ)、アクセスした人の地域などがわかります。

簡単!Googleアナリティクスの使い方~建設・リフォーム会社のホームページ改善編
ホームページの反響が無いときは、まずは自社のホームページの状態を把握して、分析や効果測定を行うことが大事です。そこでおすすめしたいのがGoogleアナリティクス。本記事ではその操作や設定をわかりやすく解説しています。

⑦WEB行動解析

見込み客がWEBサイトを閲覧した時の行動を解析する機能です。どのページをどれくらいの時間閲覧をしているかのという情報で、見込み客毎の購買意欲や興味を持っている商品や・サービスを特定します。

⑧ソーシャルマーケティング

ソーシャルメディアに関するマーケティング活動を効率化する為の機能です。ソーシャルメディアで特定のキーワードを設定した投稿があった際に、広告を自動で出稿する機能や、一つの投稿で設定した全てのソーシャルメディアに一斉に投稿出来るマルチポスト機能などが含まれています。

⑨SFA・CRM連携

マーケティングオートメーション内の機能として、お客様の購入頻度、購入金額、平均単価、家族構成などのCRM機能も個別で実装しています。マーケティングによって獲得した情報を営業へ、営業の商談結果などのリードの情報をマーケッターへ提供し合う事で、次回のリードナーチャリングに活かす事が可能になります。

マーケティングオートメーションでできないこと

さまざまな機能を持っているマーケティングオートメーションは、今までできなかったマーケティングを実行出来るようにはなりますが、すべてを自動化できるわけではありません。

マーケティングオートメーションではできないことと、マーケティングオートメーションを使うことで、マーケターの工数が増える業務があります。それは「企画」です。

事前にどういうセグメントにどんなタイミングでどのようなアクションを起こすかという企画が描けているかどうかが成功の鍵となります。その企画をマーケティングオートメーションに登録し、自動化を行まいます。その企画作りのために、ペルソナ設定やカスタマージャーニー設計、スコアリング設計などの準備が必要となります。

まとめ

マーケティングオートメーションは建設業においても、営業活動として必須のツールといっても過言ではありません。ただ、それを正しく理解して活用するためには、マーケティングプロセスへの理解、マーケティングオートメーションでできる機能、できない機能の理解が必要です。

ニーズが多様化し、チャネルも増加するなか、マーケティングに必要な業務や処理は大幅に増えています。マーケティングオートメーションを理解し、活用することで自社のマーケティングを効率化していきましょう。

     
この記事を書いたライター
岸上直大

WEBマーケティングのコンサルティング提案、コンテンツ制作、WEB広告運用を中心に手掛けているディレクター&ライター。MA、SNS、BI、SEOなどのwebマーケティングからAI、IoT、ロボティクスといった新技術系まで幅広い知見があり、現在、世の中のWEBマーケティング格差を埋める新事業を計画中。

岸上直大をフォローする
お役立ち記事
タイトルとURLをコピーしました