リスティング広告はWeb広告のメインストリームと言ってよいほど、最も広く普及し、最も多く目にする「定番」のネット広告です。ただし相性もあり、特に建設業のBtoBジャンルではコンバージョンが難しいと言う人もいます。とはいえ建設業のBtoBでも、リスティング広告から数千万の工事を獲得し続ける建設会社はいくらでもいます。
では一体、どのようにすれば建設業でリスティング広告が活きるのでしょうか? まずは、リスティング広告の特徴を確認し、押さえるべきポイントを見ていきましょう。
リスティング広告(検索連動型広告)とは?
リスティング広告は、ウェブサイトやアプリの広告枠に表示される「ディスプレイ広告」とは、大きく異なる性質を持った広告です。まずは、リスティング広告の特徴を確認しておきましょう。
どんな仕組みなの?
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!といった検索エンジンで検索を行った際、検索されたキーワード(検索語句)に連動して検索結果画面に掲載されるテキスト形式の広告です。そのため「検索連動型広告」とも呼ばれています。
要するに、検索キーワードに関係する広告=ユーザーが興味のありそうな広告を表示するわけです。この性質により、自社のサービスや商品に興味があるユーザーにアプローチしやすいという特徴があります。集客や知名度アップを狙ったWebマーケティングでは、このメリットを活かしてリスティング広告がよく使われます。
どんな媒体に出稿するの?
リスティング広告の出稿先媒体としては、シェアの高い「Google広告」と「Yahoo!広告」の2つがよく使われます。また、最近ではMicrosoft広告を使い、Bingの検索結果に広告を出すケースも増えています。ターゲティング方法や表示オプションなど、細かい機能にはそれぞれ違いがあるので、比較検討して選ぶことが大切です。
どんな掲載フォーマットなの?
リスティング広告は、主に広告見出し(タイトル)・説明文・リンク先URLの3要素で構成されています。文字数や使用できる文字・記号・表現などには制限があるため、事前に確認しておくことが大切です。
クリック課金制
リスティング広告は、ユーザーが広告をクリックして初めて費用が発生する「クリック課金制」を採用しています。検索結果画面に広告が表示されただけなら、費用は発生しません。費用の無駄が発生しにくい広告といえます。
予算は日間・月間で自由に設定可能
リスティング広告の予算は、「1日あたり」もしくは「1月あたり」で自由に設定することが可能です。しかも、予算設定はいつでも変更できるので、日々の状況を見ながら施策を変えることができます。「成果が上がらないので広告を出すのを中断しよう」「大きな効果があったのでさらに予算を増やそう」といった柔軟な対応が可能なのです。
リスティング広告のメリット・デメリット
リスティング広告には、メリットもあればデメリットもあります。Web広告にはリスティング広告以外にも多くの種類がありますから、それらと比較検討した上で、リスティング広告が自社にマッチしているのかを判断することが大切です。リスティング広告のメリット・デメリットを確認しておきましょう。
リスティング広告のメリット
リスティング広告の主なメリットとしては、以下のものが挙げられます。
関連性の高い検索キーワードに対して入札できる
リスティング広告は、ユーザーの検索キーワードに対し、「1クリックあたり何円支払うか」を事前に決めて入札を行います。そして、落札できた場合に広告が掲載されるという仕組みです。
建設業であれば、「足場工事」や「管工事」といった、自社に関係するキーワードに対して入札することになるでしょう。これらのキーワードで検索したユーザーは、自社の手掛ける工事に興味を持っている可能性が高いと考えられます。つまり、不特定多数の見る場所に広告を掲載するより、コンバージョンする確率が高いのです。
購買意欲の高いユーザーに向けて配信できる
リスティング広告は、対象となるキーワードを厳選することで、より購買意欲の高いユーザーにアプローチすることが可能です。たとえば、足場工事の依頼を獲得したい場合は、「足場工事」よりも「足場工事 費用」に対して入札する方がいいでしょう。具体的な費用について調べている人は、購買意欲が高いはずだからです。
また、東京都千代田区で足場工事の依頼を受注したい場合は、「足場工事 千代田区」に対して入札する方が、コンバージョン率は高くなると考えられます。もちろん、有望なキーワードは競合も狙っていますから、競争に勝つための対策を立てた上で入札することが大切です。
低予算で始められる
広告を出す際に気になる点といえば費用ですが、リスティング広告なら低予算でも始めることができます。リスティング広告は、広告主が予算を設定できるからです。
広告費の仕組みは検索エンジンによって異なり、Googleは1日あたり200円前後、Yahooはクリック単価10円前後から設定できます。これなら、成果がわからないうちから大きな出費を強いられることはありません。
また、リスティング広告はクリック課金制を採用しているため、無駄な費用が発生しにくいというメリットもあります。つまり、他の手法に比べて費用対効果が高くなりやすいのです。
SEOよりも即効性と柔軟性が高い
検索エンジンを使って集客を図る手法としては、リスティング広告以外にSEO対策があります。リスティング広告は、SEOに比べて「即効性」と「柔軟性」で勝っているのが強みです。
SEO対策は効果が出るまで半年以上かかることもあり、しかも上位表示される保証はありません。一方リスティング広告は、キーワードの選別と入札金額次第では、即日上位掲載させることも可能です。
また、広告文を自由に設定できるのに加え、年齢・性別・居住地域などのターゲティング設定もできます。つまり、日々の実績を見ながら、訴求する内容や方向性を柔軟に変えることが可能なのです。
リスティング広告のデメリット
リスティング広告の主なデメリットとしては、以下のものが挙げられます。
潜在顧客へのアプローチには向かない
リスティング広告は、実際に検索行動を起こしたユーザーにアプローチするため、コンバージョン率が高いというメリットがあります。しかし、ユーザーが検索行動を起こす時というのは、ニーズや悩みが顕在化している時です。
つまり、まだニーズや悩みが顕在化していない潜在顧客に対しては、リスティング広告を使ってアプローチすることはできません。外壁工事を考えていない人が「外壁工事 費用」で検索することはまずありませんよね。このようなユーザーに対しては、別の手法でアプローチする必要があります。
ビジュアルによる訴求ができない
リスティング広告は、テキストのみで構成された広告です。そのため、画像や動画を用いて視覚的にアプローチすることはできません。まずは自社の施工事例を見てもらいたい場合など、ビジュアルによるアプローチを重視する場合は、他の手法を検討しましょう。
リスティング広告で効果が出やすいサービス・商材
リスティング広告は検索キーワードに対して入札するという性質上、検索された分だけ広告出稿の機会が生まれ続けます。一方、クリック課金制により費用対効果が優れているとはいえ、広告費がかかってしまうのも確かです。
そのため、リスティング広告は業界・企業・サービスなどによって向き不向きがあります。先に結論をいうと、建設業界はリスティング広告と比較的相性がいい業界です。「建設業BtoBはネット広告と相性が悪い」というのは、ネット検索が現在のように普及していなかった時代の話。今では誰でもスマートフォンを持ち歩いていますし、元請けやゼネコン担当者、施工管理士も検索で施工会社を調べるのは当たり前なので、リスティング広告に触れる機会は普通にあるのです。
では、リスティング広告で効果が出やすいサービス・商材の条件を、もう少し詳しく見てみましょう。具体的には、以下のものが挙げられます。
高単価・高粗利
リスティング広告は低予算でも始められますが、競争率の高い重要キーワードで競合に勝ちたい場合は、ある程度まとまった費用がかかってしまいます。そのため、広告費を回収できる高単価・高粗利のサービスや商品に向いています。建設業の工事費は、食品や衣類などの一般消費財と比べて基本的に単価が高めのため、リスティング広告との相性はいいといえるでしょう。
リピート購入されやすい
たとえ単価が低くても、リピート購入されやすいサービス・商品であれば、長期的に広告を運用することで費用対効果が見合ってきます。建設業では、BtoBの継続的な案件受注を狙う場合などに意識しておくといいでしょう。
緊急の案件が多い
トラブルへの対応など、早急に解決しなければならない課題を抱えているユーザーは、コンバージョン率が高い傾向があります。災害からの復旧工事や人手不足対応など、緊急の案件が多い建設業界とは好相性です。品質とスピードを兼ね備えた工事ができることを訴求すれば、顕在層のユーザーに強くアプローチできます。
検索ボリュームが大きい
多くのユーザーが興味を持っており、検索ボリュームが大きいキーワードは、必然的に広告の効果が出やすくなります。ただし、検索ボリュームが大きいキーワードは競合も多く、広告費が高くなりがちです。予算や費用対効果を考慮した上で、広告を出すかどうかを決めましょう。
リスティング広告を効果的に運用するためのポイント
リスティング広告は多くの企業が活用しているため、ただ出稿するだけでは十分な効果を上げることはできません。ポイントを押さえ効果的に運用してこそ、成果につなげることができるのです。リスティング広告を効果的に運用するための、代表的なポイントをご紹介します。
自社、競合、市場の状況を理解する
入札を行う時は、そのキーワードで他の企業がどういった広告を出しているのかを確認しましょう。競合の訴求内容を調査した上で、自社の優位性をアピールできるような広告を出せば、自社が選ばれる可能性は高くなります。競合の広告にはスピードに関する記述がないので、自社がスピード対応可能であることを打ち出す、といった運用が基本です。
最適なターゲット層を洗い出す
最適なキーワードを選定するためには、まず最適なターゲット層を洗い出すことが大切です。具体的なユーザー像(ペルソナ)を設定し、その行動をストーリー仕立てで考えてみましょう。ユーザーがどのような意図で情報を検索し、どのような流れで広告クリック→コンバージョンするのかを追求すれば、適切なキーワードや広告文が見えてきます。
王道キーワードと専門的なキーワードを組み合わせる
キーワードを選別する時は、王道のキーワードと専門性の高いキーワードを組み合わせましょう。検索ボリュームが大きい王道キーワードは、競合が多い代わりに1クリックの単価が高額になります。そこに自社と関連する専門性の高いキーワードを組み合わせれば、高単価かつ競合の少ないキーワードで戦うことができます。また、組合せ方法(マッチタイプ)には「完全一致」「部分一致」「フレーズ一致」「絞り込み部分一致」などがありますので、効果を見ながら適した入札を進めましょう。
なおキーワードを選定する時は「キーワードプランナー」などのツールを活用するのが基本です。継続的に効果測定を行い、あまり効果の出ていないキーワードを入れ替えるサイクルを繰り返せば、効果の高いキーワードの組み合わせを見つけることができます。
わかりやすい広告文をつくる
リスティング広告で表示できる文字数は、それほど多くありません。しかし、適切な内容を盛り込めば、ユーザーの興味を強く惹くことができます。ポイントは、具体的な数字や自社の強み、サービスで得られる効果など、これは役立つ内容だと思ってもらえる情報をコンパクトにまとめることです。
また、検索キーワードに応じて移動先のページも変えましょう。工事名で検索したユーザーは、工事内容や施工実績のページに。協力会社や求人募集などのキーワードを組み合わせて検索したユーザーは、それぞれの紹介ページに飛ばすといった工夫が必要です。
品質スコア(インデックス)とクリック単価のバランスを取る
リスティング広告の品質は、Googleなら「品質スコア」、Yahooなら「品質インデックス」というシステムに従い、10段階で評価されます。数字が大きいほど評価が高く、「検索ユーザーの求めている内容に合致している」とみなされ、上位表示されるという仕組みです。
ユーザーは上位に表示される広告からクリックする傾向があるため、検索順位はなるべく上げる必要があります。しかし、検索ボリュームの大きいキーワードで競合に勝とうとすると、どうしてもクリック単価が高くなってしまいます。そのため、品質スコア(インデックス)とクリック単価のバランスを取りつつ、上位表示を目指すことが大切です。
リスティング広告の効果測定の方法
リスティング広告は、一度出してしまえばそれでOKというわけではありません。成果につなげるためには、実際に効果が出ているのかどうかを確認し、必要に応じて単価や広告文を見直す必要があります。
効果測定に使う基本的な3つの指標
効果測定は、「コンバージョン」「ターゲット層」「予算と目標値」の3つの指標に基づいて行うのが基本です。言い換えると、「(資料請求や問い合わせ獲得などの)成果が出たか」「狙ったターゲットをうまく獲得できているか」「費用は予算内に収まったか、目標値は達成できたか」といった点を見る必要があります。
ポイントは、具体的な目標数値を決めておくことです。それに届いているかどうかを確認すれば、リスティング広告が期待通りの効果を発揮しているのかどうかを正確に判断できます。
効果測定の手段は2つ
また、効果測定の手段は、大きく分けて2種類あります。1つは「コンバージョンタグ」の設定です。コンバージョンタグは、ユーザーに最終的に訪れてほしいページに設置します。
たとえば、工事の依頼獲得が目的であれば、問い合わせのページに設置すべきでしょう。ユーザーが設置したページを訪れると、タグがそのことを認識し、コンバージョンの達成数としてカウントします。
Googleには「Google AdWords」、Yahooには「Yahoo!プロモーション広告 スポンサードサーチ」という公式ツールがあり、広告掲載と効果測定を一括管理できます。コンバージョンの状況はGoogleアナリティクスなどの分析ツールでも確認できますが、広告掲載と合わせて管理するのが難しいので、やはり公式ツールを活用するのが望ましいでしょう。
もう1つの方法は、効果測定ツールの活用です。リスティング広告は、あくまでもマーケティングの手段の1つでしかないため、リスティング広告だけに注力しても大きな成果は上げられません。
そのため、ランディングページ(LP)やサービスサイトといった、他のコンテンツのクオリティアップも同時に行う必要があります。各種コンテンツや広告の総合的な効果測定・ブラッシュアップのためにも、サポートツールを導入するのがおすすめです。
効果測定の頻度
そして、最後にもう1つ意識しておいていただきたいことがあります。それは、効果測定は毎日行うのが基本だということです。
表示回数、クリック数、クリック率、コンバージョン率など、効果測定でチェックすべき数値はたくさんあります。これらを毎日チェックしてこそ、効果が出ているのかどうかを正確に判断できます。
特に、広告の掲載や広告文・検索キーワードの変更を行った直後は、その結果を細かく追いかけるのがおすすめです。データが蓄積されてきたら、効果測定のスパンを少しずつ広げ、最終的には1~2週間に1回程度にしてもいいでしょう。
リスティング広告を最適化し、多くのユーザーとつながろう!
リスティング広告は、コンバージョンしやすい顕在層ユーザーとつながることができる、とても便利な広告です。低予算でも始められることや費用対効果の高さといった長所もあり、建設業界でも多くの企業が取り入れています。詳しい仕組みや運用のコツを理解すれば、より多くのユーザーに自社のサービスを提供することができます。
もちろん、他にもいろいろな種類の広告やマーケティング手段があるため、目的や状況に応じて使い分けることが大切です。広告の効果的な運用方法がわからない時は、ホームページ制作やWebマーケティングの専門業者に相談してみましょう。