建設会社様は、元請けの協力会の下で大口の工事を請けているケースも多いことと思います。しかし、元請け1社に依存し過ぎていると、万が一のこと(元請けの急な方針変更やM&A、倒産等)があった際に、会社の事業継続面が不安ですよね。中小企業振興公社でも、「1社あたりの取引額を30%以内に」とリスク分散を推奨しています。ゆえに、「新たな元請けを獲得した方がいい」ということは、皆さんも理解していらっしゃるでしょう。
結論、地道な営業活動や交流イベントへの参加などで取引先を開拓することになるかと思いますが、その際に自社営業をアシストしてくれるのが、ホームページの存在です。
会社概要や実績をパンフレットに印刷して渡すのも有効ですが、印刷が間に合わず直近の実績が載っていなかったり、相手が興味を示した分野の記載が薄かったり……。さらには印刷物自体も、その保管方法などで相手にとって迷惑な場合もあります。
これらの問題を解決できるのがホームページです。
ホームページがあれば営業時、あるいは交流イベントでもアピールになりますし、名刺からQRコードで飛べるようにすれば、必要な時に見てもらえる可能性も高まります。
何より、今は元請けが施工会社を探す際にインターネットで検索している時代です。ホームページの作りや運用次第で、営業活動をしなくてもインターネット経由で仕事がやって来る例は多々見られます。
では、肝心のホームページとは、どのようなものにすればよいのでしょうか?
ここでは、建設業のホームページ制作のポイントを、具体例とともにご紹介します。
POINT 1:ターゲット顧客を明確にする
ホームページを制作する前に、まずはターゲット顧客を明確にしましょう。ターゲット顧客が定まることで、ホームページに記載すべき重要なコンテンツが見えてきます。
建設会社・施工会社様の場合、ターゲット顧客は「元請け業者」「法人の顧客」「個人の施主」の3つに分けられます。それぞれをターゲットとするホームページ制作のポイントを確認しておきましょう。
元請け業者をターゲットとする場合
ターゲット顧客が元請け業者の場合は、下請け工事を受注することになります。「信頼できる施工会社」と評価してもらうためにも、施工可能範囲や施工品質、納期、実績といった情報をわかりやすく掲載しましょう。
法人の顧客をターゲットとする場合
最近では工事を分離発注するケースも多く、中には施主自ら分離発注するケースもあります。たとえば工場や倉庫、オフィスなどの物件で、電気工事だけ、設備工事だけ、あるいは床工事だけを依頼することも珍しくありません。また、不動産会社が分譲用の造成工事や解体工事を直接施工会社に依頼する場合もあります。
こういった工事を受注するための最優先事項としては、自社がどのような工事に対応できるのかを正確にアピールすることが大切です。そのため、施工可能範囲はもちろん、技術力や実績といった「どのくらい専門的な工事ができるのか」という情報を詳しく紹介する必要があります。
個人の施主をターゲットとする場合
店舗のオーナーや戸建住宅の施主が、外構・土木工事や電気工事などを直接依頼するケースも増えてきています。この場合、工事について詳しくない方がターゲットとなるため、一般の方にもわかりやすく情報を記載することが重要です。
特に工事価格やその相場はご存じないことがほとんどですので、総額だけでなく「何にいくらくらいかかるのか」という内訳を明記した方がいいでしょう。もちろん、施工範囲や施工実績、保証などの情報も丁寧に記載する必要があります。
POINT 2:自社の強みをアピールする
自社が狙うべき顧客とホームページに記載すべき重要なコンテンツが明確になったところで、次は、それぞれのコンテンツについて細かく見ていきましょう。
ただ「コンテンツ」と言っても、やみくもに揃えておけばいいという訳ではありません。ホームページの「コンテンツ」は、自社の強みをアピールする重要な場所だからです。自社の強みは他社との差別化ポイントであり、「選ぶ理由」そのものです。自社の強みを積極的に伝えれば、ターゲット顧客に選ばれる可能性が高まります。具体的には、以下のような要素を記載しましょう。
施工範囲(請負可能な工事種・規模・対応エリアetc.)
施工範囲、すなわち「そもそも何ができる会社なのか」ということは、ターゲット顧客に最初に伝えるべき情報です。施工範囲を明確にしておけば、対応可能な工事を希望する見込み顧客に「依頼先候補」として認識してもらえますし、検索エンジンからの流入も期待できます。
ポイントは、できる限り詳細な情報を掲載することです。たとえば、内装工事を手掛けている会社の場合、床・壁・天井の新設や撤去、防音・断熱施工にも対応できるのか? 建具や家具、土間、電気工事は任せられるのか? 壁仕上げの専門家なら、得意なのは塗装かクロス張りか? 伝統的な左官工事は対応可能か? といったことは、細かく記載しましょう。
また、新築とリフォーム・リノベーションのどちらに対応しているのか? 対応可能なエリアはどこまでか? といった情報も重要です。ミスマッチを防ぐ意味でも、詳しい情報を掲載してください。
技術力・施工品質
自社の技術力も、必ずアピールすべきポイントです。高い技術力を持った会社であることをターゲット顧客に伝えれば、依頼を獲得できる確率は大きくアップします。橋梁工事や重量鳶、左官工事といった専門性の高い分野や、大規模な工事を扱っている会社の場合は特に重要です。
また、他社との差別化ポイントが「少しでも」あれば、積極的に打ち出しましょう。たとえば、断熱工事や配管工事などを行っている会社なら、「隠れて目に見えなくなる部分だからこそ、見た目を美しく仕上げています!」というのも差別化ポイントになります。
他にも、「スタッフは勤続◯年以上のベテランぞろい」「最新の高性能な機材を使用しています」「これまでに大きな労働災害は一度も起こしていません」といった情報は、いずれも差別化ポイントになります。「ここは他の似たような会社とは違う!」と魅力を感じてもらえるような情報を掲載してください。
施工実績
施工実績は、建設業のホームページの最重要コンテンツといっても過言ではありません。「実際にどんな工事をしたことがあるのか」というのは、信頼につながる極めて重要な要素です。前述した技術力にしても、結局のところは施工実績に裏付けられており、施工実績がそのまま技術力の証明になります。特に新規元請けを獲得したい場合、「どのJVの下で、どんな規模の工事を請け負ったのか」を記載するのは必須です。
このアピール力を高めるためにも、施工実績はできる限り多く記載しましょう。ただ量を増やすだけでなく、多様な工事の実績を掲載しておくと、施工範囲の広さや技術力の高さのアピールになります。
さらに、著名な物件の施工実績があるなら、ぜひ掲載してください。活動エリア内で誰もが知るような物件の施工実績があると、実感を伴って信頼性が大きく高まるのに加え、親しみを感じてもらうこともできます。
工事価格
顧客の中には、価格が1番気になるという方もいるでしょう。特に一般施主は、工事の価格相場に関する知識がないケースが多いため、価格の目安を掲載しておくのがおすすめです。
ここで注意したいのは、あえて激安価格を記載することで「客寄せのネタ」「吊り」にしようとする場合です。今の時代、SNSもGoogleクチコミもかなり普及していますので、あまりにも実態とかけ離れた表記をしていれば、すぐに悪評で叩かれるでしょう。また、「値段重視のうるさい客」を積極的に呼び込んでいるので、ダメ工事やクレーム対応も含め、本来の施工とは別のところで時間を取られ、疲弊するリスクもあります。
上記のことからお勧めしたいのは、総額を正直価格で記載するだけではなく、「何にいくらかかるのか」という内訳も掲載しておくこと。また、過去の施工事例を提示した上で「この物件には◯千万円かかりました、内訳は以下の通り」というように解説すると、さらに相場を理解してもらいやすくなるでしょう。
このことで顧客に安心感を与えることができ、現調後に想定価格を上回っても納得させやすくなります。顧客が施工グレードを上げたいときでも「どの部分で費用が上がってしまう」というのが事前に認識されているので、見積りから成約までスムーズになるメリットもあります。
納期
納期、つまり「いつまでに工事を完了できるのか」も大切な情報です。納期が短いに越したことはないのはもちろん、「この期間内に必ず工事を終えてほしい」という要望を持つ顧客は少なくありません。理由は、その家に住みながら工事をする必要があったり、施設の休業期間を最小限にするためだったり、あるいは大きなプロジェクトで工期にしわ寄せが出てしまっているなど、さまざまです。
特に一般施主にとっては重要なポイントで、元請けに対しても有効な時があります。「独自の技術により短期間で工事を終えられます!」「ワンストップ対応により工期の短縮が可能です!」といった強みがあるなら、ぜひアピールしてください。最短◯日など、納期の目安も示すとなおよしです。
保証
工事が完了した後、何らかのトラブルが発生するケースは決して珍しくありません。そのような時に備えた保証を設けていることも、大きなアピールポイントとなります。
特に工事の知識が少なく、何かと不安を抱えやすい一般施主にとっては、価格や納期と並んで重要な情報です。「◯年間は無償で修理します!」など、保証やアフターフォローの内容や期間は具体的に記載し、顧客に安心感を持ってもらえるようにするといいでしょう。
対応力
緊急の依頼や特殊な案件への対応力も、自信があればぜひアピールしましょう。「近隣エリアなら24時間以内に対応します!」など、即応力に優れる会社は、急なトラブル対応などの依頼を拾うことができます。価格面でも有利になるので、「困った時はまず弊社にお電話を!」と、対応力の高さを打ち出してみてください。
POINT 3:お問い合わせフォームを充実させる
ホームページを見て自社を気に入ってもらえても、そこから問い合わせにつながらなければ意味がありません。そこで必要になってくるのが、お問い合わせフォームへの導線を明確にすることと、フォームを充実させることです。
また、お問い合わせフォームは、誰を対象とするのかによって作りを変える必要があります。代表的なお問い合わせフォームの制作ポイントを見ていきましょう。
一般的なお問い合わせフォームの作り
氏名/メールアドレス/電話番号/問い合わせ内容などが、フォームで入力を求める情報の基本です。ほか、「どんな工事を希望しているか」「工事予定はいつ頃か」などがあれば、電話対応も楽になります。また、複数の事業部がある会社なら、工事内容の選択項目を設けることで、どの部署が電話対応すべきかなどが事前にわかり手間が省けます。
潜在顧客(これから客)を囲い込むフォームの作り
顧客の中には、「工事はまだ少し先だけど、とりあえず情報収集だけしておきたい」という方もいます。そういった「潜在顧客」を囲い込み、温めて顧客化することも、お問い合わせフォームの構成を工夫すれば可能になります。
その場合、ダウンロードできる資料を用意し、なるべく簡単な入力で済ませられるようにしましょう。入力する項目があまりに多いと、面倒になって資料ダウンロード自体をしてもらえなくなるためです。
究極、フォーム入力なしでダウンロードしてもらう手もありますが、それだと後追い・醸成ができなくなるので、最低限の連絡先は入力を求めるようにしましょう。
POINT 4:SEO対策を施す
ホームページができたら、さらに「SEO対策」を施しましょう。SEO対策をしっかりと行えば、Googleなどの検索エンジンでホームページが上位表示されるようになります。その結果、「営業しなくても」ターゲット顧客の方から自社を探して、工事のお問い合わせをしてくれるようになるのです。SEO対策の方法としては、主に以下のものが挙げられます。
ターゲットキーワードを意識したコンテンツを作成
SEO対策の基本は、ターゲットキーワードを意識したコンテンツを作成することです。ターゲット顧客がどのようなキーワードで検索しているのかを調べ、そのキーワードに関わるコンテンツを作成すれば、検索エンジンからの流入を狙えます。ターゲットキーワードは「キーワードプランナー」などのツールを使うと調べることができます。
たとえば、元請けからの土木工事の獲得を狙うなら、「土木工事 協力会社」「土木工事 依頼」がターゲットキーワードになるでしょう。東京都千代田区で足場工事の依頼獲得をしたければ、「千代田区 足場工事」「千代田区 足場会社」などがターゲットキーワードです。一般施主向けなら「外壁塗装 費用」「リフォーム工事 注意点」などが考えられます。
内部リンクを適切に設置
自社ホームページ内のページ同士をつなぐ「内部リンク」を適切に設置すると、検索エンジンのクローラがホームページを巡回しやすくなり、ページがインデックス(データベース登録)されやすくなります。その結果、新たにアップしたページが検索結果に出てくるのが早くなり、上位表示もされやすくなるのです。
また、関連性の高いページ同士を内部リンクすると、リンク元・リンク先双方の検索エンジンからの評価が高まり、上位表示されやすくなります。さらに、ユーザーが知りたい情報を探しやすくなるので、ホームページの滞在時間が長くなり、問い合わせにつながりやすくなるというメリットもあります。
外部リンクを獲得
外部リンク(被リンク)が増加すると、内部リンクと同様クローラに見つけてもらいやすくなり、インデックスされやすくなります。また、「多くのWebサイトからリンクされている=重要なサイトである」ということで、検索エンジンからの評価が高まり上位表示が期待できます。
ただし、外部リンクは内部リンクと異なり、自分で自由に増やせるわけではありません(自作自演は評価の低下につながる)。そのため、共有したくなるような良質でオリジナリティの高いコンテンツを作るのはもちろん、SNSなどで宣伝・拡散することも大切です。
施工事例やブログの更新頻度を高める
施工事例やブログは、ホームページの中でも特に更新しやすいコンテンツです。これらの更新頻度を高めると、検索エンジンからの評価もアップし、上位表示につながります。
ただし、更新頻度自体にSEO的な意味はありません。最新情報の発信や良質なコンテンツの蓄積を積極的に行うことで、結果的に評価が高まるのです。そのため、低品質なページの公開や更新をしないよう注意する必要があります。
POINT 5:定期的に更新する
前項では、SEO対策の方法として「施工事例やブログの更新頻度を高める」ことを提示しましたが、これをもう少し深掘りしてみましょう。
ホームページは、定期的に更新することが大切です。更新によって見込み顧客に最新情報を届けることができるほか、狙ったキーワードを含んだ記事や役立つ記事を掲載すれば、ページの評価が高まり上位表示されやすくなります。特に効果的なのは、以下のようなコンテンツの更新です。
施工事例(施工実績)
前述した通り、施工事例はtoB・toCを問わず、建設業のホームページにおける特に重要なコンテンツです。同時に、日々の業務によって次々と新しい事例が蓄積されていくため、「更新のネタ」を作りやすいコンテンツでもあります。
また、古い施工事例だけを掲載していると、それがどれだけ素晴らしいものであったとしても「最近はもう、こういう工事をやっていないのでは?」「技術力が低下しているかも……」と思われてしまいかねません。必ず最新の事例を定期的にアップしましょう。
ブログ
ブログは気軽に更新しやすく、しかも多様な使い方ができるコンテンツです。お役立ち情報を掲載してコンテンツマーケティングができるのはもちろん、施主/求職者向けの解説にも使えます。仕事に対する考え方やちょっとした出来事、社員の様子、社員旅行の模様などを掲載して、親しみを持ってもらうのもいいでしょう。
ニュース
最新ニュースの発信は、固定ページ以外で自社アピールをできるいい機会です。「新社長が就任しました!」「今年の新入社員紹介」「新型重機導入!」「期間限定キャンペーン開催中!」など、積極的にニュースを掲載しましょう。もちろん、新たな工法の登場や法改正など、建設業に関わる世の中の最新ニュースを紹介するのも有効です。
セミナー情報
これはtoC業態がメインになりますが、セミナーを開催するなら、ぜひその情報も掲載してください。たとえば工務店における「ローン・資金セミナー」「間取り勉強会」「インテリアづくりのコツ」などは、潜在顧客獲得の重要なルートです。多くの人に知ってもらうほど効果が高まりますので、SNSとも連携して情報を拡散するのがおすすめです。終了後は、セミナーの様子も記事や投稿としてアップするといいでしょう。
まとめ
今やホームページは、toB・toCを問わず、建設会社・施工会社にとって必要不可欠なものとなっています。上記のポイントを押さえてホームページを制作すれば、従来型の営業活動以上の効果を発揮させることも可能です。単なる名刺代わりのホームページではなく、安定した集客につながる魅力的なホームページを制作し、効果的に活用しましょう。
なお、BRANUが制作するホームページは、「事業支援」を目的とする手段の1つとして提供されています。そのため、SEO対策や広告運用等も含め、貴社の集客・採用等の中長期施策を俯瞰してワンストップで取り組めるところがポイントです。専属のコンサルタントが標準で伴走し、経営改善までサポート可能ですので、ご興味のある方はぜひいちどご検討ください。