公共工事の入札がメインの建設会社でも、ホームページを作るべき理由とそのポイント

     
公共工事の入札がメインの建設会社でも、ホームページを作るべき理由とそのポイントホームページ制作
ホームページ制作

今や業界問わず、会社がホームページを持つことが当たり前の時代になりました。建設業も例外ではなく、顧客や案件を獲得する上でホームページを活用するケースも多く見られます。

一方、「うちは公共工事の入札がメインだから、ホームページはいらない」という考えの方もいらっしゃるでしょう。

確かに、入札は建設業許可を取得し、経営状況分析機関への財務諸表提出などを行って入札参加資格審査を受け、資格を取得した上での参加となります。当然、「どんな工事会社なのか?」といったことは、書類上の記載でほぼ説明できておりますので、「あえてホームページで訴求しなくてもいいのでは?」と考える方の気持ちは理解できます。

しかし、公共工事の入札において、発注者(自治体や官公庁)は入札参加業者の中から、技術力や実績、価格などを「総合的に判断して」受注者を決定します。そのため、申請書類では書き切れなかった情報、記載する必要のなかった情報の部分で、他社に差を付けるためにホームページが有効なのです。

たとえば、環境問題への取り組みや自治体への協力・参画などがあるのとないのとでは、落札率は大きく変わります。もちろん、施工技術についても同様です。こうした自社の強みや特徴をアピールするためのツールとして、ホームページは大きな効果を発揮します。

では、そんな「入札で有利になるホームページ」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか? ここでは、公共工事の受注がメインの会社における、ホームページ制作のポイントをご紹介します。

最初にターゲット顧客を明確にする

ホームページ制作において最初に行うべきなのは、ターゲット顧客を明確にすることです。どのような層をターゲットにするのかによって、ホームページに掲載すべきコンテンツや、発信すべき情報は変わってきます。ターゲットが曖昧なままだと、制作以前にマーケティングの方向性が定まらず、効果的なホームページは作れません。

そして建設業では、大まかなターゲット顧客は以下の3つに分けられます。

・自治体や官公庁
・民間企業
・個人

今回取り上げるのは公共工事がメインの建設会社ですから、主なターゲット顧客はもちろん「自治体や官公庁」です。公的な機関がターゲット顧客ということで、民間企業や個人をターゲットにする会社とは、ホームページ制作に対する姿勢も変える必要があります。以下の項目では、この点を念頭に置いてホームページ制作のポイントを見ていきましょう。

公共工事

わかりやすさを重視する

自治体や官公庁がターゲット顧客である場合、ホームページ制作でまず重視すべきなのは「わかりやすさ」です。自治体や官公庁は、社会的な責任が大きい分、一般の企業よりも情報収集に慎重な傾向があります。そのため、ホームページはわかりやすく、必要な情報がすぐに見つけられるように設計しなければなりません。

たとえば、会社概要や事業内容、企業の沿革といった基本的な情報や、技術力がわかる施工事例のページは必ずチェックされます。トップページのデザインがごちゃごちゃしていて、これらのページにどこから飛べるのかさえ簡単にわからなければ、その時点で「ここはやめておこう」となってしまうかもしれません。

また、各コンテンツのページも、読みやすく内容を理解しやすい設計にしておく必要があります。テキストや画像などの配置はもちろんのこと、テキストの品質にも気を配りましょう。全体的に、スッキリしていて目を通しやすいデザインにするのが基本です。

公正さをアピールする

わかりやすさと並んで重要なポイントが「公正さ」です。自治体や官公庁は、特定の企業を優遇することなく、公正な競争の下で発注を行う必要があります。どれだけ技術力や実績が優れていても、公正さや誠実さにかけると判断された企業は、公共工事を落札できません。

そのためホームページでは、自社の強みや実績を伝えるだけでなく、公正さや誠実さをアピールするコンテンツも掲載する必要があります。つまり、自社のブランディングに注力すべきなのです。

具体的には、法令遵守を徹底していることや、従業員の労働環境改善に取り組んでいること、環境保護に力を入れていること、大きな労働災害を起こしていないこと、行政処分を受けた経験がないことなどを、積極的にアピールしましょう。もちろん、公共工事の受注実績が豊富にあることは、公正さの何よりの証明になります。

公正さをアピールする

信頼感を醸成する

自治体や官公庁に限った話ではありませんが、多くの発注者は信頼できる会社と取引を行いたいと考えています。そのため、ホームページには、自社の実績や信頼性を示すコンテンツを積極的に掲載するようにしましょう。具体的には、以下のコンテンツを掲載するのがおすすめです。

施工実績・施工事例

施工事例は、建設会社のホームページで最も重要なコンテンツです。実際に手掛けた工事の例を公開すれば、自社の技術力の高さのアピールになり、信頼獲得につながります。なるべく多くの施工事例を、写真や動画とともに掲載しましょう。有名な建造物の施工事例であれば、より効果的です。

また、掲載する施工事例の内容は、もちろん公共工事のものが中心であるべきですが、民間の工事が含まれていても構いません。多様な工事の施工事例を掲載し、「こんなこともできます」とアピールするといいでしょう。

会社概要

会社概要には、会社の所在地、簡単な事業内容、代表者名、連絡先、各種保有資格・許可、資本金、従業員数などの情報を掲載します。ごく基本的な情報ではありますが、これらの情報がないと「間違いなく存在し活動している会社である」ということが確認できません。

また、会社の沿革や理念を掲載すれば、業務に対する自社の姿勢をアピールでき、信頼獲得につながります。代表者や従業員、社屋、オフィスなどの写真を掲載するのもおすすめです。

オフィスなどの写真を掲載する

事業内容・工事内容の紹介

事業内容のページには、自社が提供する工事の概要を掲載します。「具体的に何ができる会社なのか」ということを説明するためのコンテンツであり、工事を落札する上で重要です。

施工可能範囲はもちろん、自社の強みや特長なども積極的にアピールしましょう。できる限り詳細に記載して専門性の高さを伝えると、その分野の工事を獲得しやすくなります。さらに、他社にはない強み(差別化ポイント)もアピールすれば、落札の確率が大きくアップします。

お客様の声

過去に取引した自治体や官公庁からの高評価は、自社の信頼性の確かな証明です。なるべく実名を出した上で「お客様の声」として掲載し、自社が信頼できる企業であることをアピールしてください。アンケートを取るなどして「どこがよかったのか」を具体的に評価していただくと、さらなる信頼性アップや強みのアピールにつながります。

お客様の声

落ち着いたホームページデザインに

信頼感を醸成するためには、ホームページのデザインにもこだわる必要があります。あくまでも一般論ですが、過度な装飾や派手な色使いは、公共工事を主に受注する企業としては好ましくありません。

人間の服装と同じで、こういったデザインは「誠実さ」や「規律正しさ」といった印象から離れてしまうからです。したがってホームページのデザインは、シンプルで落ち着いた印象のものを選ぶといいでしょう。

公開したあとも更新を続け、落札率向上へ

ホームページは「公開したら終わり」ではなく、定期的に更新して最新情報を発信することも大切です。ホームページの更新頻度が低いと、「最近の活動実態がわからない」「仕事に対する熱意を感じられない」といった理由で、自治体や官公庁からの信頼を得られない可能性があります。

また、更新する内容によっては、自社をさらにブランディングでき、落札の可能性を高めることもできます。具体的には、以下のページの更新を積極的に行いましょう。

施工実績・施工事例

先に解説した通り、施工事例は発注者から最も注目されるページです。ここの更新がストップしていると「工事を受注できていないのか? 財務状況が心配」あるいは「廃業したのか?」などと思われてしまう可能性があります。

逆に、直近の施工事例がアップされていれば、会社の勢いを印象付けられますし、運転資金が回っている印象も与えられます。工事の最中は、施工事例のページにアップすることを意識して写真を撮ったり、出来事を記録したり、お客様の声を聞いたりするのがおすすめです。

求人・集客で悩んでいる企業が動画を導入すべき

現場ブログ

ブログは工事に関する最新情報や、自社の仕事ぶりを紹介するコンテンツです。ブログを定期的に更新することで、活動的な会社の雰囲気を伝えられる他、自治体や官公庁に好印象を与えられます。

また、ブログで施工に関する知識などを紹介すれば、そういった知識の普及や研究に熱心な会社だという印象を持ってもらえるでしょう。工事の落札だけでなく、求人募集においても大きな効果が期待できます。

ニュース

建設業界に関するニュースを掲載すると、自社が業界の最新情報や動きをキャッチアップできていることをアピールできます。2023年現在の話題でいえば、インボイス制度や働き方改革への対応完了報告などが挙げられます。事業への積極性や法令遵守の姿勢をアピールする上で非常に効果的なので、日々ニュースをチェックしておいてください。

民間や個人からの工事受注も狙えます!

ここまでご紹介したポイントを踏まえてホームページを作り上げられたのなら、もう少しの工夫で民間や個人からの工事受注も狙えます。そのためのポイントを挙げてみましょう。

お問い合わせフォームを設ける

お問い合わせフォームは、見込み顧客から問い合わせを受けるための重要なツールです。ホームページを見て興味を持った方がすぐに問い合わせに移れるよう、わかりやすい場所にお問い合わせフォームを設置しておきましょう。各コンテンツの下部に設置するのも効果的です。

フォームへの入力を求める情報としては、氏名・所属機関・メールアドレス・電話番号・問い合わせ内容・希望する工事内容+日程・納期などが挙げられます。また、あわせて資料をダウンロードできるようにしておくと、潜在顧客を囲い込むことができます。

なお、あまり多くの項目への入力を求めると、面倒に感じられて問い合わせにつながらないので、必要なものだけに絞ることが大切です。適切なフォームを作って気軽に問い合わせができるようになれば、依頼を獲得できるのはもちろん、顧客情報を効率よく集められます。

SEO対策を施す

せっかくホームページを作っても、検索エンジンの検索結果に上位表示されなければ、大きな効果は見込めません。そこで、SEO対策を施して上位表示を狙い、ターゲット顧客が自社のホームページを簡単に見つけられるようにしましょう。具体的には、以下のような方法が挙げられます。

・ターゲットキーワードを意識したコンテンツを作成する
・内部リンクを適切に設置し、クローラビリティや滞在時間の向上を狙う
・良質なコンテンツの蓄積やSNSでの宣伝で、外部リンクを獲得する
・コンテンツを定期的に更新する、更新頻度を高める

特に重要なのは定期的に更新することですが、先にご紹介した施工事例やブログなどの更新をしっかり続けていれば、SEO対策の半分以上はできているようなものです。さらにターゲットキーワードや内部リンクなども意識して更新を続ければ、大きな効果が期待できます。より高度な対策を取りたい時は、専門業者に相談してみましょう。

施工事例やブログなどの更新

まとめ

この記事でご紹介したポイントを押さえれば、自治体や官公庁から強く興味を持ってもらえるホームページを作ることができます。ホームページの品質が工事の受注成否を左右するケースは、決して少なくありません。ホームページをしっかりと作り込んで、自社の強みや信頼性をアピールし、公共工事の落札につなげましょう。

なお、BRANUが制作するホームページはSEO対策もパックになっており、運用もオプションにてご用意。さらにホームページの枠を超え、専属のコンサルタントが伴走し、経営改善もサポートいたします。ぜひ活用をご検討ください。

     
この記事を書いたライター
政所健司

建築専門出版社にて住宅誌の編集長を歴任。国交省・住宅金融支援機構・NEDO等の広報誌制作業務に参画後、LIXILリフォームショップFC店の企業広報を経て現在BRANU株式会社にてマーケティングを担当。「現場で一番汗を流している人たちこそ主役に」という考えのもと、中小零細企業へのIT支援・DX支援・事業支援を通じて建設業界の古い産業構造の改革を目指す3児の父。

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