ホームページを導入しようと思って制作会社に見積りをお願いしたけど、記載された項目が何を指してるのかわからない。何でこんなにかかるのかわからない……。
これは、決して恥ずかしいことではありません。建設業に従事されてる方はインターネットの内部に触れる機会はほとんどないと思いますので、見積書を見れば見るほど疑問が湧くのは当然のことです。とはいえ、それなりの費用が出ていくことですので、黙認する訳にもいきません。
そこで本記事では、こうした疑問や不安を解消できるように「ホームページ作成・導入にかかる作業と費用」「なぜその項目(作業)が必要なのか?」といったことをまとめてみました。
また各項目で必要となる費用の一般的な相場、さらにその費用を抑えるにはどうしたらよいか、節約のコツや注意すべきポイントを解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ホームページの制作費を決定する3つの要素
最初に、そもそも制作費がどのように決定されるのかを確認しておきましょう。ホームページの制作費は、大きく分けて3つの要素から成り立っています。
①制作に必要な「技術力」
②実際に技術者が稼働する時間である「作業工数」
③制作会社独自のノウハウやサポート体制といった「付加価値」
これらを単純な公式にすると以下のようになります。
制作費=技術力×作業工数+付加価値
制作費の適正化を図るためには、これら3つの要素が適正かどうかを見極める必要があります。つまり、「高度な技術を使いすぎではないか?」「作業量が多すぎないか?」「そのサービスは本当に必要か?」といった部分に目を向けるべきなのです。もちろん、ただ安ければいいわけではないので、どこにいくらのお金をかけるのか、というバランスが重要になってきます。
知っておきたい! ホームページの制作と維持管理にかかる費用
ホームページは、制作したらそれで終わりではありません。完成後は実際に管理・運用し、状況に応じてアップデートを行う必要があります。そのため、ホームページにかかる費用を見積もる時は、制作費(最初にかかる費用=イニシャルコスト)に加えて維持管理費(使っている間にかかる費用=ランニングコスト)も考慮することが大切です。それぞれの詳しい内訳や費用の相場を見ていきましょう。
制作費
ホームページは多くの工程を経て制作されるため、制作費も細かく分類されます。費用が適正かどうかを判断するには、見積もりの段階で「何にいくらかかっているのか」を把握し、相場と比較する必要があります。制作にかかる主な費用と相場は以下の通りです。
・進行管理費(ディレクション費)
制作プロジェクトの管理にかかる費用です。具体的には、WEBディレクターやPM(プロジェクトマジャー)の人件費を指します。
案件の大きさに比例して金額が上がっていく傾向にあるため、他の制作費全体に対する割合で算出されることが多く、相場は制作費の10%程度です。直接的な制作作業の費用でこそありませんが、WEBディレクターやPMは制作を円滑に進めるために必要不可欠な存在です。安易にコストカットすると、ホームページ全体のクオリティに影響する可能性があります。
・デザイン費
レイアウトや画像の作成といった、ホームページのデザイン全般に関わる費用です。一般的には全体で一括(一式)ではなく、会社の顔となるトップページのデザイン(ベースデザイン)の費用と、下層ページ(付随するページ)のデザイン費用に分けられます。
相場はトップページが10万円~、下層ページが1ページあたり1万円~です。ただし、制作会社によっては人日単位で見積もりを出す場合もあるほか、パソコン用とスマートフォン用のページデザインを分ける場合はそれぞれ費用がかかります。
・コーディング費
プログラミングコードを書き、ホームページデザインをWEB上(インターネット上)で見ることのできるデータにする「コーディング作業」にかかる費用です。デザイン費と同じく、スマホ用のページを作る場合は別途費用がかかります。相場はトップページが5万円~、下層ページが1ページあたり1万円~です。
・デバッグ費(動作検査・修正費)
制作したホームページが、WEB上で正常に機能するかどうかを確認する「デバッグ作業」にかかる費用です。地味ながら重要な作業で、機能が複雑であればチェック項目も増え、その分だけ費用も高くなります。相場は5万円~です。
・環境構築費
ホームページをWEB上に公開するための環境構築にかかる費用です。ホームページのデータを保管しておく「サーバー」の設定費用や、ネット上の住所にあたる「ドメイン」の設定費用などが該当します。これがないと、せっかく作ったホームページのデータを誰も見ることはできません。相場はサーバー設定が5万円~、ドメイン設定が2万5000円~です。
・機能実装費
ホームページにいろいろな機能をつけるための費用です。WordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)のインストール費用やそのカスタマイズ費用、お問い合わせフォームの作成費用、SSL(通信暗号化)の設定費用などが該当します。相場はCMSのインストールが2万円~、その他が各3万円~です。
・素材作成・購入費
イラストや写真など、ホームページに使う素材の作成・購入にかかる費用です。クオリティや数量、イラストレーターやカメラマンの知名度などによって金額は大きく変わってきます。相場はイラストが1枚5,000円~、ライティング(文章作成)が1ページ5,000円~、作図が1枚3,000円~、各種取材が1ページ5,000円~。プロカメラマンに写真撮影を依頼する場合は3万円~、動画撮影は内容やロケ日数により25万円~300万円と幅があります。
・その他費用
ここまで見てきたもの以外にもいくつかオプションがあり、目的に応じて追加すると大きな効果が得られるものもあります。代表的なものとしては、ホームページを検索上位に表示させるためのSEO対策や、アニメーション(動き)を表示させるためのJavaScriptの設定、そして他言語対応などがあります。相場はSEO対策が10万円~、JavaScriptが1種類2万円~、多言語対応が50万円~です。
維持管理費(ランニングコスト)
ホームページの維持管理費は、作業を自社で行うのか外注するのかによって変わります。当然ながら自社で行った方が費用を抑えられますが、専門的な作業を自社で賄うのはなかなか難しいので、ごく基本的なこと以外は外注した方がいいでしょう。費用の内訳は以下の通りです。
・維持費
ホームページの維持に必要な最低限の費用のことです。サーバーのレンタル費用やドメインの更新費用、SSL証明書の更新費用などが該当します。相場はサーバーが3,000円~1万円/月、ドメインが1,300円~1万円/年、SSLが無料~20万円/年程度です。
・管理費
ホームページの画像の変更やデザインの修正、コンテンツの追加・更新、バグへの対応、セキュリティ対策といった作業にかかる費用です。一般的には月額料金が設定され、それを上回る作業を依頼すると追加料金が発生します。相場は5,000円~10万円/月程度です。
・運用費
ホームページのアクセス状況の分析・レポートを行い、ホームページの改善・改修や追加のSEO対策を施す、インターネット広告を出すなど、集客関連の作業にかかる費用です。本格的なホームページ運用をしたい場合に必要となります。相場はどのくらい力を入れるか、どのぐらい広告に投資するかにもよりますが、おおよそ10万円~100万円/月程度です。
なお、自社で行う作業の範囲によって月額費用を区分すると、以下のようになります。
管理体制 | 月額費用の相場 |
すべて自社で行う(維持費のみかかる) | 500円~3,000円 |
最低限の管理を外注(維持費+管理費) | 2000円~5,000円 |
基本的な管理を外注(維持費+管理費) | 1万円~5万円 |
本格的な運用も外注(維持費+管理費+運用費) | 5万円~100万円以上 |
ホームページの制作費を安く抑えるためのコツ
ここまで見てきたように、ホームページを制作・運用するためにはある程度まとまった費用がかかります。必要な投資ではあるのですが、なるべく節約したい場合も多いでしょう。そこで、クオリティを保ちつつホームページの制作費を安くするためのコツをご紹介します。
素材を自社で用意する
イラストや写真、図表、動画といった素材を1から用意してもらうと、思った以上に費用がかかります。そこで、素材はできる限り自社で用意しましょう。建設業の場合は、建設現場や職人さん、重機に工具などの写真を撮影しておくのがおすすめです。イメージ画像ではなく実際の現場の写真を掲載することで、業務内容をわかりやすくアピールできるというメリットもあります。
ホームページの内容を吟味する
ホームページを制作する時は、「あれもこれも」と機能や情報を盛り込んでしまいがちです。しかし、ほとんど使われない機能や余分な情報を盛り込んでも、制作費が増大するだけであまり意味がありません。その上、後になって「やっぱりいらない」と修正・手戻りをすれば、さらに費用がかかり納期も延びてしまいます。
そのため、ホームページの内容を吟味してから制作を開始するのがおすすめです。まずはホームページの制作目的をはっきりさせ、「目的に沿った内容になっているか?」「余分な機能が搭載されていないか?」といったことを確認しましょう。制作会社とは十分な打ち合わせを行い、要望を正確に伝えることが大切です。
制作会社の作業量(工数)を減らす
シンプルに作業量を減らせば、その分だけ費用も削減できます。たとえば機能を削ったり、ページ数を減らしてボリュームを下げたりといった方法が考えられます。ただし、必要な機能やページまで削ってしまっては意味がありません。ホームページの目的を常に念頭に置いて取捨選択を行いましょう。
技術レベルを下げる
技術レベル、つまりクオリティを下げると、作業の単価も下がるので費用を抑えられます。無駄な装飾を付けずページを簡素化する、複雑な機能やアニメーションなどの動きをやめてシンプルなものを選ぶといった方法が有効です。全体の技術レベルを一律で下げる必要はないので、注力するポイントを明確にし、それほど重要ではないページを簡素化するといいでしょう。
まとめ
基本的に、ページ数や機能を抑えたシンプルなホームページにすれば、制作費も維持管理費も安く済ませることができます。しかし、それではあまり見てもらえず、見に来てくれた方の期待にも応えられず、本来の目的が達成できないかもしれません。費用の節約は確かに大切なポイントですが、ただ安ければいいというわけではないのです。
総合的に考えると、やはり「制作会社選び」が重要というところに行きつきます。費用とクオリティのバランスが取れたホームページ制作は、経験豊富な制作会社だからこそできることです。ホームページ制作の目的と費用対効果をきちんと見極めたうえで、実績や技術力があり親身になってくれる業者に作成を依頼しましょう。