テクノロジーの進化に伴い、多くの企業で「営業を科学する」取組みや検証が行われています。これは事務系の大企業に限った動きではなく、地場のリフォーム会社や工務店といった建設業中小企業でも 、売上向上を目指した同様の動きが見られます。
このような企業で多く参考にされているのが、 福田康隆氏が提唱する「THE MODEL」(ザ・モデル)です。そこで本記事では、この「THE MODEL」の基本についての要点をまとめてみました。
どうも最近売上が伸び悩んでいるという方、 これまでの直感に頼る営業スタイルから脱却したい方は、 ぜひご参考にされてください。
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「THE MODEL」(ザ・モデル)とは?
「THE MODEL」の主な特徴は、以下の2点があげられます。
1.営業プロセスを切り分け、各段階での情報を数値化・可視化する
2.各段階を担当する部門間が連携することで、顧客満足の向上を図る
多くの企業で単価や受注数、受注率などを細かく管理されていると思います。しかし受注数をコントロールするにはその前の段階、つまり見込み客の数や、そこからの商談化率を明確にする必要があります。
これが1つ目の「営業プロセスの切り分け」になります。各段階での数値を明確にし、それぞれを向上させることができれば、最終的な売上も増やすことができるという理屈です。
さらに受注後の追加発注を視野に入れたのが2つ目の「顧客満足度の向上」です。OB受注率の高いリフォーム業界など、違和感なく受け容れられると思います。
THE MODELのしくみ
それでは、THE MODELの具体的なしくみと、その運用方法についてご説明しましょう。なお、以下はあくまでも標準的なものですので、自社の組織構成や人的リソースにフィットするように調整してください。
THE MODELでは、営業プロセスをの4つの段階に区分しています。ここでポイントとなるのは、あるプロセスのゴールが次のプロセスの母数になるということ。つまり各段階で十分な母数を確保するためには、それぞれの段階でしっかりゴールを達成し、次の段階にパスしていくことが必要なのです。
THE MODELのしくみは、実はシンプル
「THE MODELのしくみ図」を見て複雑に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実はシンプルです。「逆算」して見ていくと、より明快になります。 受注数を増やしたいなら、商談数と受注率を上げる。
そのためには見込み客数と商談化率を上げる。そのためには来訪者数とそこからの見込み客獲得率を上げる…ということになります。 イメージしやすいように仮の数値を入れてみましたので、ご参考ください。
THE MODELで明確になること
自社の数値をTHE MODELに当てはめることで、どのプロセスに問題があるのか? どこが足りていないのか? ボトルネックはどこか? などが明確になります。そのため、改善すべき点、注力すべき点が把握できるという訳です。
参考実例:都内リフォーム会社さんの場合
数値を入れたものの、おおよその目標やベンチマークがないと、自社の数値がいいのか悪いのか判断できませんよね? そこで、あるリフォーム会社さんにご協力をいただき、数値を見せて頂きました。
社員10名、年商2.5億、創業50年を超える都内のリフォーム会社さんの年間の数値です。数字で「?」となっている集客部分は、施策としてチラシや見学会、マッチングサイトなど幅広く行っているため集計が難しいとのこと。また年間受注を超える過去年OBからの引合いがあるため、名目を変更しています。 今後の課題は「見込客数の増加」「確度の高い商談創出(育成)」とのことでした。
なぜ、商談化以前のプロセスが大事なの?
「商談数以降の数値をしっかり管理するのは分かるけど、それ以前の集客部分も細かく切り分ける必要あるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。実は国内の消費行動を見ると、今後この部分が重要になってくることが分かっています。
リサーチ会社の調査によれば、情報収集・比較検討・意思決定といった消費者の購買プロセスのうち、前半の67%は営業担当者が接触(商談)する前に終わっているとのこと。つまり営業が接触する前の「顧客による調査・評価」のプロセスが重要度を増しており、商談になって以降のプロセスを細かく管理していくだけでは不十分な時代になってきているのです。
効果の最大化を狙うにも、現実的には…
THE MODELで「営業プロセスの切り分ける」「集客~育成のプロセスが重要」ということはご理解いただけたかと思いますが、「人員や手間を割けない」という企業さんも当然多くいらっしゃいます。 その場合は、以下のような人員配置になるのが現実かと思います。
つまり複数のプロセスを受け持ったり、一部を外部に託したり…。実はそういうときこそ、「THE MODEL」が活かせます。
なぜならTHE MODELは、異なる部門間との連携をスムーズにさせるためのツールでもあるからです。
外部をうまく使い、その目標管理にTHE MODELを活用。ご自身は現場で本業に専念する――。ぜひご参考にされてみてください!
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