ホームページ制作を依頼する上で、「ペルソナ」の設定は重要なポイントの1つです。特に一般顧客を対象とする建設・建築会社様にとっては、事業展開や事業戦略を練るうえでも「ペルソナ」の設定は重要な意味を持ちます。
とはいえ、「ペルソナについてちょっと聞いたことはあるけど、一体何なの?」という建設業従事者も多いことでしょう。そこで本記事では、ペルソナの意味や目的、メリット、作成方法についてわかりやすく解説します。
ペルソナとは?
ペルソナ(Persona)とは、簡単にいうと「過去の顧客データなどを参考にして作った、典型的かつ具体的な顧客像」のことです。顧客の特徴を詳細にまとめた、実在する人間に限りなく近いキャラクターと考えていいでしょう。建設業のホームページ制作においては、「仕事を依頼してくれそうな人」「ホームページを訪問しそうな人」のペルソナを作ります。
では、なぜペルソナを作る必要があるのでしょうか? 答えはいたって単純で、商品を購入したりサービスを利用したりするのは「生きた人間」だからです。建設会社が工事を受注したい場合、「当社への依頼を検討するのはどんな人か?」「どうすれば実際に依頼を獲得できるか?」といったことを考えなければなりません。この際、具体的な顧客像であるペルソナを作っておくと、非常に役に立つのです。
そのため、ペルソナは細かい部分まで作りこむ必要があります。盛り込む情報としては、年齢、性別、居住地、職業、収入、学歴、家族構成、趣味、性格、価値観、人生観、生活習慣、人間関係、情報源(TV、新聞、インターネットなど)、所持している端末(PC、スマホなど)よく使うWebサイトやSNS、買い物をする場所などが挙げられます。
このように、その人物の人柄や価値観、ライフスタイルにまで踏み込んだ設定を作ることによって、リアルな人間像ができ上がるのです。そこへ「現状の悩み」や「人生の目標」などを付け加えると、一層具体的な見込み顧客の姿が浮かび上がり、戦略に活かすことができます。
ペルソナを設定する目的、メリット
詳細なペルソナを設定しておくと、さまざまな場面で役立ちます。ペルソナ作成の主なメリットは以下の3つです。
顧客の目線で戦略を練ることができる
ペルソナを作りこむと、顧客の目線で物事を考え、戦略を練ることができます。その結果、押し付けるような売り方ではなく、顧客が本当に望んでいるサービスを提供できるようになるのです。
顧客への理解が深まる
ペルソナを作成すると、その過程で顧客への理解が深まります。「この人はどんな人なのだろう?」「何に興味があるのだろう?」「趣味は何だろう?」「どんな悩みがあるのだろう?」。こういった情報を明確にすると、顧客に提供すべきサービスが定まり、現状の課題や解決策も発見しやすくなります。
社内外でイメージを共有できる
ペルソナを設定しておくと、社内外を問わず関係者全体で顧客イメージを共有できるようになります。結果として、ホームページ制作に関わるメンバー同士の認識のズレがなくなり、意思決定も迅速になるのです。目標がブレないので、完成したホームページの品質も高くなります。
ペルソナの作り方・5つのステップ
ペルソナは、「こんなお客さん本当にいそう!」というものでなければ意味がありません。そのため、ペルソナを作成する時はチームで話し合いつつ、ポイントを押さえて進める必要があります。ペルソナの作成手順を5つのステップに分けて見ていきましょう。
ステップ1:簡易ペルソナを確認する
まずは、経営者や営業担当者、サポート担当者などから、想定しているペルソナ像を聞き取ります。これを「簡易ペルソナ」といい、データの裏付けがない仮のペルソナです。この過程を飛ばすと、完成したペルソナと各担当者の簡易ペルソナが異なっていた場合に、簡易ペルソナが優先されかねません。「データの裏付けがないペルソナ」がどんなものなのかを、最初に確認しておくことが大切です。
ステップ2:必要な項目をリストアップする
ペルソナの作成に必要な項目をリストアップします。以下の4種類に分類してまとめると効果的です。
基本情報…氏名、性別、年齢、職業、家族構成など
行動…趣味、生活習慣、休日の行き先など
内面…性格、価値観、関心事、購買の基準など
情報収集…所持している端末、よく使うSNSや検索ツールなど
このうち情報収集に関する項目は、ホームページと顧客の接点を探る軸になるため非常に重要です。もしすでに収集している顧客データがあるなら、それを参考にして項目を決めるのもいいでしょう。
ステップ3:必要な情報を集める
項目が決まったら、それに基づいて情報収集を行います。主な方法としては顧客アンケートやインタビュー、営業部門やサポート部門の担当者からのヒアリングなどが挙げられます。できる限り客観的で、信頼できる情報を集めることが大切です。また、使用するデータはなるべく新しいものを選びましょう。
ステップ4:具体的な人物像へまとめ上げる
収集した情報を具体的な人物像にまとめ上げ、ペルソナを作成します。完成したペルソナはメンバー全員で共有し、イメージとのズレが生じていないか確認してください。
ステップ5:ペルソナがうまく作成できたか確認する
完成したペルソナは、うまく作成できたかどうかを必ずチェックします。実際に活用できるペルソナでなければ意味がないからです。
ポイントとしては、まず「本当にいそうな顧客か?」「内容が魅力的か?」を確認します。また、「顧客としての重要な属性を満たしているか?」「戦略決定やホームページ制作の基準として使えそうか?」といったこともチェックしましょう。内容がA4用紙1枚程度にまとめられており、さっと読めて実用性があるかどうかも重要です。
ペルソナ作成のコツと注意点
ペルソナの作成に取り掛かってもなかなかうまくいかず、「こんな人本当にいるの?」というペルソナになったり、効果が十分に出なかったりすることもあるはずです。そこで、ペルソナ作成のコツと注意点を確認しておきましょう。
作成者の主観や思い込みをなくす
ペルソナは、主観や思い込みに基づいて作成してしまうことがしばしばあります。たとえば、「お金のある人は広くて豪華な家を好むはずだ」「若い人ならメインの情報源はInstagramのはずだ」と思い込んで施策を打っても、実態と違っていれば効果は出ません。
そのため、ペルソナ作成時はメンバー同士で指摘しあい、主観や独断、偏見、思い込みなどをできる限り排除することが大切です。自社だけでデータを集めるのが難しい場合は、Web制作会社に相談してみるといいでしょう。
ペルソナの動機や意思決定の過程に注目する
「こんなお客さんは本当にいる!」と思えるリアルなペルソナを作るためには、ペルソナの動機や意思決定のプロセスに注目しましょう。その人は、どこで自社の存在を知るのか? なぜホームページを訪問するのか? ホームページを閲覧後どうするのか? こういった部分に目を向けると、ペルソナが何を考えているのかをよく理解でき、効果的なホームページ制作につながります。
必要に応じてサブのペルソナも設定する
ペルソナは1人とは限らず、対象とする顧客像が複数考えられる場合もあります。そのような時は、メインのペルソナに加えてサブのペルソナも設定しましょう。最近新たなタイプの顧客が増えている場合や、下請けの仕事の獲得を狙う際に、担当者と決裁者が別になる場合などに有効です。
定期的にペルソナを見直す
ペルソナは一度作ればいいわけではなく、定期的に見直す必要があります。なぜなら、顧客の属性や好み、考え方などは、時代や世の中の情勢に合わせて変化するからです。また、分析をした結果、実際のメイン顧客がペルソナと違うことに気づく場合もあるでしょう。これらの視点でペルソナを評価し、状況によってペルソナの再設定やホームページのリニューアルを行ってください。
ペルソナをホームページ制作にどう活かす?
ペルソナは営業戦略全体で活用できますが、ホームページ制作においては、主に「カスタマージャーニーマップ」の作成に使用されます。カスタマージャーニーマップとは、顧客(カスタマー)が商品やサービスを認知してから購入・利用するまでの流れを旅(ジャーニー)にたとえ、それを目に見えるよう図や表にしたものです。
具体的には、表の横軸に「認知」「興味」「検索」「行動」「共有」といったフェーズを、縦軸にタッチポイント(接点)やチャネル(経路、媒体)、思考、感情、課題などを書き込みます。これを活用して顧客の行動や内面を可視化し、顧客体験を細かく分析して、より効果的なホームページ制作や施策実行につなげるという仕組みです。
カスタマージャーニーマップの詳細は以下の記事をご覧ください。
まとめ
リアルなペルソナを作成すると、顧客の心理をよく理解でき、顧客の目線で営業戦略を考えられるようになります。さらに、ペルソナをもとにしてカスタマージャーニーマップを作れば、顧客がいつ・どんな目的でホームページを訪問するのかがよくわかり、顧客の期待に応えられるホームページを制作できるでしょう。
とはいえ、ペルソナを作成するためには必要な項目の設定や情報収集など、やるべきことがたくさんあります。自社では対応しきれないと感じたら、ホームページ制作と合わせて専門業者の力を借りるのがおすすめです。実用的なペルソナを作り上げて、ホームページ制作や営業戦略に活かしましょう。